2飛蚊症で知っておきたいこと

飛蚊症を放っておくのは禁物

福下先生は、飛蚊症の対応について、①初めて見えたとき ②その2ヵ月くらい後 の2回の眼科受診を勧めます。
「もし病的な飛蚊症であればすぐ治療しないといけませんから、初めて飛蚊症が見えたら眼科で診断してもらいましょう。加齢による生理的飛蚊症であればほとんど問題ないのですが、後部硝子体剥離がまれに網膜裂孔を起こすことがあります。硝子体が網膜に癒着している場合があり、網膜の状態によっては硝子体がはがれたときに破れるのです。硝子体は網膜から離れ始めてから安定するまで1~2ヵ月かかるので、最初の飛蚊症から2ヵ月程度経った頃に網膜裂孔などがないか、再度診てもらうと安心です。」(福下先生)
 病的な原因が疑われすぐに受診するべき飛蚊症には、以下のような見え方が挙げられますので、チェックしてみましょう。

これは病気のサイン 飛蚊症チェック

丸い小さな粒の飛蚊症

丸い小さな粒の飛蚊症

血管が切れたときに見えやすい飛蚊症。ゴマをまいたようなたくさんの丸い粒は、赤血球が見えている場合がある。後部硝子体剥離による軽い出血などならまもなく止まるが、病気による出血の場合があるので注意が必要。

カーテン状の飛蚊症

濃い煙のようなものがカーテンのように下がり、視野が狭まってくるような感じは網膜剥離や眼底出血にともなって見えている可能性がある。

赤いものが流れる

赤いものが流れる

多くの場合、飛蚊症は硝子体から網膜に何らかの影を感じているので黒く見えるが、出血しているときは光の当たり方によって赤く見えることもある。

飛蚊症の予防・治療法は?

病的な飛蚊症であれば、出血を止めるなど硝子体の濁りを取り除くことでおさまることがあります。一方、加齢による生理的な飛蚊症については予防法も施すべき治療法も確立されていないのが現状です。
「硝子体の融解を食い止めたいところですが、白髪やシワと同じように自然で、誰にも起こる現象です。硝子体がどのように変化するのかは現在のところはっきりわかっていないので、サプリメントなどの効果も確かなことは言えません。硝子体そのものが悪さをして病気を起こすケースもほとんどなく、病気でなければ原則的に特別な加療は行いません。つまり残念ながら加齢による飛蚊症は治せません。
 でも、後部硝子体剥離が網膜の病気の進行を食い止める効果につながる場合もあり、結果としてプラスに働くこともあります。

強度近視の方は要注意

要因を挙げると、強度近視の方は飛蚊症リスクが高いと言えます。強度近視は眼球の奥行きが長く伸びるので、網膜が引っぱられ後部硝子体剥離を起こしやすい状態です。比較的若いうちに剥離が起こって飛蚊症を発症することも、珍しくありません。また、予防法としては眼に衝撃を与えないことです。打撲などの衝撃で眼球が変形することで、後部硝子体剥離や網膜剥離が発生することもあります。たとえば、水泳の飛び込みで顔が水面に当たる衝撃も原因になり得ます。ですから、強度近視の方は特に、衝撃には注意したほうが良いでしょう。」(福下先生)

いつか見えなくなる~気にし過ぎず"ウィズエイジング"

飛蚊症は健康に害はないとはいえ、常に視界に何かが動いていれば、不快でストレスになってしまうのではないでしょうか?
「確かに邪魔で不快ですね。でも、眼が動く状況によっては網膜に影が落ちないので、常に見えているわけではありません。また、人間の身体には、身体にとって害のあるものでなければ、次第に異物として感じなくなっていく『同化』という作用があります。飛蚊症も気にして見てしまうとずっと気になりますが、気にしないようにしていれば次第に自分の中にある一部のようになり、意識しなくなっていきます。個人差はありますが、1~2か月ほどで忘れていたという方が多いです。
ですから、飛蚊症が発症してもあまりショックを受けず、年齢による勲章のようなものだと考えて受け入れて、一緒に生きていく“ウィズエイジング”をおすすめします。」(福下先生)

飛蚊症が発症したとき、あるいはすでに発症している方は、まずは一度眼科の受診を。
そして、病気の心配がないのだとしたら気に病み過ぎず、上手につき合っていくと良いようです。

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