


「お薬手帳」のススメ
1「手帳」は本当に必要?
手帳がないと調剤の負担額が増えることも
調剤薬局で薬を購入する際に提示を求められる「お薬手帳」。手帳のあるなしで、同じ薬剤でも支払額が変わることをご存知ですか。
調剤薬局で処方箋医薬品を購入する際、6か月の間に同じ薬局を利用すると、別の薬局を利用した場合に比べ、3割負担の患者で最大40円の負担減になります(個人負担分のみ。医療保険の負担分も含めると120円の減)。2回目以降、同じ薬局を利用するたびにこの金額が適用されるので(各回の間隔が6か月以内)、定期的に医療機関で薬の処方を受ける人にとってはお得なしくみです。ただし、この際、お薬手帳の提示がなければ負担減は適用されません。つまり、手帳がない場合、毎回最大40円の負担増になるというわけです。
これは国が設けたインセンティブのしくみです。患者に同じ薬局を利用してもらい、1つの薬局で個人の服薬状況を一元的に管理できるようにすることを目的としています。お薬手帳の提示を条件にしているのも「一元的管理」を目的にしているためで、手帳が情報管理の重要なツールとして考えられていることがわかります。
薬の飲み合わせ・飲み過ぎはどのように管理?
では、お薬手帳にはどのような役割があるのでしょうか。
私たちは、日頃、心身の不具合に応じてさまざまな診療科や医療機関を受診し、それぞれに別の医師から薬の処方を受けます。また、薬を購入する際も、医療機関や自宅、職場の近くなど、その都度、利用しやすい場所にある薬局を自由に選んでいます。患者が自由に医療にアクセスできるのは大きなメリットですが、一方で、医師や薬剤師が(専門家ではない患者自身も含め)すべての診療科・医療機関・薬局を通じて服用薬を把握するのが難しくなるというデメリットも生じます。
その結果、同じ薬や似たような効果を持つ薬を複数の医療機関が処方していたり、薬の相互作用(飲み合わせ)や薬物アレルギーを医師や薬剤師が把握できずに当の薬を患者が服用してしまったりということが起こります。このような無駄を減らし、事故を防ぐために、すべての診療科・医療機関・薬局で出された薬を一括して記録するのが「お薬手帳」の役割です(「お薬手帳の記載事項」参照)。
■お薬手帳の記載事項
・経時的な薬剤の記録
・患者の氏名、生年月日、連絡先など患者に関する記録
・アレルギー歴、副作用歴など薬物療法の基礎となる記録
・患者の主な既往歴など疾患に関する記録
・保険薬局の名称、保険薬局または保険薬剤師の連絡先など
自分の「かかりつけ薬剤師」を見つけよう
このような服薬の管理に当たる専門職が薬剤師です。「薬剤師法」によれば、薬剤師は患者に対して情報を提供するとともに、薬学的知見に基づいた指導を行うことになっています。処方箋のとおり薬を出せばいいわけではなく、専門的な目でチェックして処方箋に疑わしい点があるときは医師に確かめる義務があり、場合によっては処方の提案を行うこともあります。その際に重要なツールになるのがお薬手帳です。実際、薬剤師が手帳を参照することで医師の処方に疑義を発見し、事故の防止につながることも少なくありません。
薬剤師は心強い味方です。国は、地域の健康拠点として薬局・薬剤師を活用するため、「かかりつけ薬剤師」制度を推進しています。これは、一定の経験を持ち、一定の研修を修了した薬剤師の中から患者自身が「かかりつけ薬剤師」を指定し、その薬剤師がすべての診療科・医療機関・薬局にかかる薬剤の管理をするしくみです。
基本的に1人の薬剤師が責任をもって業務を担当し、処方箋医薬品の購入時に指導を行うだけでなく、市販薬やサプリ、健康食品なども含めた管理も行い、さらに日常的に24時間体制で薬に関する相談を受け付けることになっています。かかりつけ薬剤師の指導を受けると、自己負担は最大で100円程度アップすることになりますが、小さなお子さんがいる家庭や在宅で高齢者の介護を行っている家庭では、「薬についていつでも相談できる」という安心感を持つことができます。
かかりつけ薬剤師の要件は厳しいため、かならずしもすべての薬局で対応してくれるわけではありません。近所の薬局で尋ねてみるといいでしょう。
次のページでは、スマートフォンを活用した「電子お薬手帳」について紹介します。
① 「手帳」は本当に必要?

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