1長くなる老後、嵩む生活費

寿命が延びたのは嬉しいけれど…

 日本人の平均寿命は年々延び続け、現在、男性79.44歳、女性85.90歳です。また、各年齢で存命する人が「あと何年ぐらい生きるか」の平均値を示す平均余命をみると、65歳男性は18.69年、65歳女性は23.66年となっています。
 長生きできること自体は非常に喜ばしいことではあるけれども、一方で「リスク」も付き物。それは、長生きすればするほど、かかる生活費です。さらに、独立していない子どもがいれば、教育費や結婚費用も必要になるかもしれません。住まいは今のままで大丈夫でしょうか。それから、死んでもなお、お金がかかる葬儀費用も…。
 何ごともなく生活していても出ていくお金。ましてや病院にかかることや介護が必要になるかも知れないことを考えるといったい、いくらあればいいのでしょう。
 退職後の「お金の不安」はつきないものですが、何にいったいいくらかかるのか、2回に分けて試算してみます。第1回は基本の費用、第2回は医療や介護費など「もしかすると」かかるかもしれない費用を取り上げます。(金額はあくまでも目安です
※ 厚生労働省「簡易生命表」(平成23年)より 

生活費、単身者でも月14万円、夫婦なら26万円

 どんな人でも生活していれば必ずかかるのが「生活費」です。現在、あなたの世帯の生活費はどれくらいか、把握しているでしょうか。
 生活費は食料や衣類などにかかるお金だけではありません。光熱費や通信費も必要です。こうした消費に伴う費用を「消費支出」といいますが、生活するうえでは税金や社会保険料も支払わなければなりません。これを「非消費支出」といいます。消費支出と非消費支出を足した額が、最低限必要な「生活費」となります。
 65歳で退職した場合、生活費はいくらかかるのでしょうか。総務省の「家計調査」(平成24年平均)によると1か月あたりの生活費は、ひとり暮らしの人でも約14万円、夫婦ならば約26万円となっています。


65歳単身者(無職)の場合

*住居費、教育費を除いてあります。

消費支出(月額) 非消費支出(月額)
食料費 32,050円 直接税 5,658円
光熱・水道費 13,027円 社会保険料 5,433円
家具・家事用品費 6,164円 その他 10円
被服及び履物費 4,940円
保健医療費 8,432円
交通・通信費 11,102円
教養娯楽費 15,204円
その他 36,112円
小計 127,031円 小計 11,101円
1か月の生活費 138,132円

総務省「家計調査」(平成24年平均)より


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65歳夫婦(無職)の場合

*住居費、教育費を除いてあります。

消費支出(月額) 非消費支出(月額)
食料費 58,948円 直接税 13,073円
光熱・水道費 20,183円 社会保険料 17,393円
家具・家事用品費 9,111円 その他 51円
被服及び履物費 7,033円
保健医療費 15,262円
交通・通信費 27,022円
教養娯楽費 26,273円
その他 61,521円
小計 225,353円 小計 30,517円
1か月の生活費合計 255,870円

総務省「家計調査」(平成24年平均)より


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住居費、改築すれば1,800万円

 住まいの形は人それぞれですが、退職してまだこれから長い人生を快適に過ごすための拠点として、住まいにも費用がかかります。ライフステージの変化や暮らし向きに合わせて改築したり、住み替えたりすることもあるでしょう。住まいにかかる費用はその年や地域の相場をチェックしておくことも大切です。


賃貸住宅の場合の賃貸料

単身者 約3.8万円/1か月(年間約45.6万円)
65歳の夫婦世帯 約4.3万円/1か月(年間約51.6万円)

総務省「住宅・土地調査」(平成20年)より

住宅ローンが残っている場合の返済額

土地付き注文住宅 11.4万円/1か月
建売戸建住宅 9.9万円/1か月
マンション 11.4万円/1か月

住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」(平成24年度)より

新居を購入する場合の購入額

新築 土地付き注文住宅 3,561.6万円
建売戸建住宅 3,206.4万円
マンション 3,757.6万円
中古 戸建 2,183.5万円
マンション 2,509.5万円

住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」(平成24年度)より

住宅をリフォームする場合

増築 約780万円
改築 約1,760万円
改装 約180万円

国土・交通省「増改築・改装等実態調査結果」(平成18年分)より

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