2臓器移植の現状―待機者と費用

移植を受けるには登録が必要

 亡くなった人からの臓器移植を希望する人は、臓器移植ネットワークへの移植希望登録が必要です。1つの臓器につき、新規登録料30,000円、更新料5,000円(年1回)がかかります

※生活保護世帯または住民税非課税世帯の場合、移植にかかる費用は書類提出により免除されます。

登録から移植までの流れ

 日本臓器移植ネットワークへの移植希望登録は、腎臓とそのほかの臓器で、その登録の方法が異なります。登録は年に1回の更新が必要です。

【腎臓移植希望者】

 通院する透析施設から移植施設を通じて、登録を行います。

【そのほかの臓器移植希望者】

 各臓器の移植施設で検査などを行い、全国から集まった移植希望者のデータを医学的に検討して、移植が必要かどうかを判定。移植施設を通じて登録し、移植の機会を待ちます。

 臓器提供候補者(ドナー)が発生すると、移植候補者(レシピエント)を選定します。臓器ごとの「移植希望者選択基準」に基づき、候補者はコンピュータで公平に選ばれます。
 移植候補者が選ばれると、移植施設の医師などから本人に意思確認の電話連絡があり、移植を受けるかどうかの返事が直ちに求められます。判断にかけられる時間は30分から1時間。各臓器は血流がない状態で搬送されるので虚血許容時間に制限があるためです。連絡がとれない場合には、移植を受ける権利が次の候補者に移ります。
 移植を受けることが決まると、多くの場合、その日のうちに入院して検査。そして移植手術が行われます。

待機者は13,000人

 日本で臓器の提供を待つ人は2013年7月現在で13,253人。臓器提供意思登録者数は119,363人ですが、実際に移植を受けられる人は年間およそ300人です。臓器別では、腎臓移植を希望する登録者が全体の9割以上を占めます。適合条件などにより、臓器提供はまだまだ待機に追いついていないのが実情です。

※上記数字は日本臓器移植ネットワークのホームページより。

高額なのは公的健康保険以外の費用

 臓器移植手術を受けると、手術費用以外にも入院費や検査費、薬剤費などがかかりますが、現在は小腸以外の臓器の移植には公的健康保険が適用されます。また自己負担が一定の金額を超えた場合には、「高額療養費」を申請すると超えた分の払い戻しが受けられ、自己負担分はかなり軽減されます。
 小腸移植はまだ移植例が少なく、公的健康保険適用の対象となっていませんが、先進医療として認められています。初診料や検査料など公的健康保険と共通部分には公的健康保険が適用されますが、先進医療の手術自体には適用されません。
 臓器移植には医療費のほか、臓器摘出のための医療チームの派遣費および臓器運送費、コーディネート経費10万円がかかります。腎臓移植希望者の場合は、臓器提供者(ドナー)が入院する施設所在地と同じブロック内の移植施設で移植希望登録している人が優先されるため、医療チームの派遣費と臓器搬送費は比較的少ないのが一般的です。
 一方、心臓、肺、肝臓、膵臓、小腸の場合には、ドナーの入院施設の所在地に関わらず、移植希望登録者すべてが対象となるため、ドナーの入院施設と移植施設が遠く離れている場合もあります。搬送にチャーター機を使用すると、200〜500万円ほどの経費がかかります。この医療チームの派遣費と臓器運送費は、高額療養費の対象となるので自己負担分を除いた金額が返還されますが、いったんは移植を受ける人が全額支払わなければなりません。
 また国内では待っていても移植手術を受ける機会がなかなか得られないため、海外で移植を希望する人も多いようですが、数千万から億の費用がかかります。海外では公的健康保険が適用されないので医療費は全額自己負担しなければならず、渡航費、滞在費も加えると出費はかなり高額です。

表3 海外移植費用のめやす(アメリカの場合)

心臓移植 約1億8,000万円
肺移植
約2億円
肝臓移植 約9,000万円
腎臓移植 約1,800万円

<内閣府認証NPO法人 海外医療情報センター資料より>

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