第54回 全国都市国民年金協議会総会及び研修会が鳥取市で開催
鳥取県立生涯学習センター 県民ふれあい会館

 第54回全国都市国民年金協議会(都市協)が8月25・26日の2日間、中国ブロック・鳥取市の鳥取県立生涯学習センター 県民ふれあい会館で開催された。参加したのは、加盟811市区中156市区(195名)であった。
 1日目は分科会が開催された。テーマ別に8つの分科会が開かれ、それぞれの分科会には各ブロックからの代表が出席して、テーマごとに地域における課題や現状について議論した。2日目は総会と研修会が開催された。研修会では、はじめにパネルディスカッションが開かれ、3市(札幌市、徳島市、北九州市)・厚生労働省・日本年金機構の5名のパネリストにより議論が進められた。続いて、井原和人氏(厚生労働省年金管理審議官)による基調講演が行われた。

2日目(1): 総会 ~要望書(案)を全会一致で可決・提出~

全国都市協議会 写真2挨拶に立つ深澤義彦鳥取市長子

 総会の冒頭、開催市の深澤義彦市長が歓迎の挨拶に立った。
 来賓祝辞では、塩崎恭久厚生労働大臣の祝辞を高橋和久氏(厚労省年金局事業管理課長)が、また、日本年金機構の水島藤一郎理事長の祝辞を菅野惠文氏(日本年金機構国民年金部長)が、それぞれ代読した。
 続いて、会務報告と議案審議が行われた。議案審議では、第1号議案の「要望書について」と第2号議案の「次期開催市について」が審議された。
 第1号議案に関しては、「国民年金制度改善についての要望書(案)」が審議され、全会一致で承認された。この「要望書(案)」の内容は下記のとおり。
 第2号議案では、来年の第55回総会の開催市として、第55回総会開催地区である四国ブロックの松山市で開催されることが全会一致で承認された。

国民年金制度改善についての要望書(案)

1 国民年金事務の一元化について

(1)  現在の国民年金事務は、その内容によって各自治体と年金事務所とで窓口が分かれているため、被保険者にとって極めて分かりづらい状況にある。特に、自治体を経由し日本年金機構で処理・審査される事務については、それぞれに処理時間を要するため非効率である。
 また「住民基本台帳ネットワーク」の利用拡大や「マイナンバー制度」の導入予定などにより、市区町村で年金窓口を設ける必然性は薄れつつある。このような状況に鑑み、国民年金事務については日本年金機構へ一元化を図ること。
 なお、市区町村は住民にとって身近な窓口であり、利便性確保の観点から、市区町村にて法定受託事務を行うものとしているとのご指摘については理解できる部分もある。よって日本年金機構の出先窓口を、希望により市区町村庁内に設置できる対策についても併せて検討すること。
(2)  障害基礎年金に関する事務を含むすべての給付事務について、以下の理由により、国民年金事務の一元化に向けた段階的な事務移管として、すみやかに検討すること。
専門的な知識を必要とするため、比較的短期間で異動し経験年数の短い市区町村職員での対応が一層困難となっている。さらに財政合理化に伴う人員削減により、少ない職員で年金業務全般と窓口業務を担当せざるをえないことから多忙を極め、業務支援ツールの活用も実際上困難になっていること。
被保険者の資格・納付記録・必要書類情報を、電話により年金事務所に確認しながら手続きを進めていることから、長時間にわたるうえ内容の齟齬や書類不備による返戻も多く、結果として、住民サービスの低下を招いていること。

2 国民年金制度に係る要望について

(1)  国民年金等事務取扱交付金については地方財政法第10条の4で規定されているところ、平成25年度の実態調査により改善された部分もあるが、多くの市区町村で未だ慢性的な超過負担となっている。
 これにより市区町村によっては国民年金事務従事者の削減、協力連携事務の縮小を余儀なくされているところもあり、円滑な事務の執行に苦慮している。
 ついては、国民年金事務に要した経費全額を支給するとともに、交付金申請事務の簡略化を図ること。
 なお、今後、「マイナンバー制度」の導入にあたり市区町村が担う国民年金事務の縮小が見込まれるが、国民年金等事務取扱交付金が急激に下がらぬよう緩和策を設けるとともに、交付金の削減にかかる通知については各市区町村の予算編成時期を考慮すること。
(2)  海外任意加入制度を利用しやすいものに改善すること。特に、口座振替申出手続きについて、強制加入と任意加入の別なく、継続して同一の口座を利用できるよう簡略化を検討すること。
(3)  外国人住民の適用について、現状では制度に対する理解を得ることが難しく、円滑な加入手続きに苦慮している。ついては、入国時に効果的な年金制度の周知・広報を実施するとともに、一括して国の所管する窓口で加入手続きを行うなどの施策を検討すること。
(4)  年金生活者支援給付金の実施にあたっては、業務の簡素化、国における費用負担の明確化を検討するとともに、すみやかな情報提供と事務処理研修を行うこと。併せて、制度周知の広報を適切に行い、受給者に不公平が生じないよう配慮すること。
(5)  熊本地震によって被害を受けた方に対しては、保険料免除等迅速な施策を実施していただいたところであるが、今後、同様な大規模災害が発生した場合においても、保険料免除や還付などの特例的な取扱いについて迅速な対応をとること。

3 日本年金機構への要望について

(1)  自治体窓口の円滑な事業推進のため、日本年金機構本部や地域部は、年金事務所と自治体が協力・連携のもと実施する事務について積極的に支援し、自治体と迅速で密な連絡調整をとれるよう年金事務所・ねんきん加入者ダイヤルを含め、問い合わせ及び自治体への情報提供体制の充実を図ること。そのために、年金事務所等における適正な人員配置及び研修を行うこと。また、日本年金機構と納付勧奨業務委託先等との情報連携について、一層の強化を図ること。
(2)  平成29年度中にも、日本年金機構はマイナンバーの利用及び情報連携を開始する予定となっている。それに伴い事務変更等が想定されるところであるが、できるかぎり早期に変更内容を通知し、市区町村に混乱が生じないよう配慮すること。

平成28年8月26日

全国都市国民年金協議会 
会長 鳥取市長 深澤義彦

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