2「3号不整合期間」は「本来の1号期間」に訂正を

切り替え漏れは年金減額や無年金のおそれがある

 前項で解説したとおり、第3号被保険者がその資格を有さなくなったときには、自分で届け出て、国民年金保険料の納付が必要な第1号被保険者に切り替えなければなりません。切り替えをしないでいると、本来は第1号被保険者の期間であるにもかかわらず、実態とは異なり年金記録上は第3号被保険者のままとなっていることが後で判明するという問題が発生します。その結果、将来受け取る年金額が少なくなったり、場合によっては年金そのものを受け取れなくなることもありますので、速やかに切り替えの手続きを行い、保険料を納付するなど、受給権を確保することが大切です。事例で見てみましょう。

【事例】会社員の配偶者の退職時に第1号被保険者への切り替えをしなかったケース

4年前に会社員のAさんが退職したときに、Aさんの被扶養配偶者であったBさん(当時50歳)は、第3号被保険者のまま第1号被保険者への切り替えをしないでおり、54歳になって切り替えの手続きを行った。
【事例】会社員の配偶者の退職時に第1号被保険者への切り替えをしなかったケース

 上の事例は、第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えが4年遅れたケースです。この4年間は、本来は国民年金保険料の納付義務のある第1号被保険者であるのに保険料を納付していませんので「未納期間」になります。老齢基礎年金は20歳から60歳になるまでの40年間保険料を納付することで満額が支給されますので、4年間の未納期間があると、老齢基礎年金は1割減額されることになります。国民年金の保険料は納付の期限から2年で時効になります。逆に言えば、2年前までの保険料は納付することができます。事例のBさんは、2年前までの保険料を納付することで、老齢基礎年金の減額率を0.5割にとどめることができました。

 しかし、残りの2年間は保険料を納付できないので「未納期間」になります。この切り替え 漏れによる「未納期間」は、「時効消滅不整合期間に係る特定期間該当届」の手続きを行うことによって「受給資格期間」に算入することができます。

 受給資格期間に算入されても、老齢年金の年金額に反映するわけではありませんが、受給資格期間(10年)を満たさないと老齢年金は支給されませんし、障害年金や遺族年金等を受給するための要件を満たさなくなるおそれもあります。「3号不整合期間」は「本来の1号期間」に訂正して納付可能な保険料を納付するとともに、それでも「未納期間」がある場合は、手続きによって
「受給資格期間」に算入することが大事であると言えます。

「ねんきん定期便」で確認

 第3号被保険者は個別に保険料の納付をしないこともあって、第1号被保険者への切り替えが必要になっても、手続きを忘れてしまいがちです。毎年、誕生日月に「ねんきん定期便」が送付されてきますので、自分の納付状況および配偶者の納付状況をしっかり確認するようにしましょう。
 日本年金機構では、「3号不整合期間」を発見した場合、その期間を第1号被保険者期間とみなして年金記録を作成し、その間の国民年金保険料の納付書を発行します。納付書が届いた場合は、速やかに納付するようにしましょう。

point

3号被保険者から第1号被保険者への切り替えをしていないことがわかったときは、速やかに届け出て、納付可能な保険料を納付するなど、年金額や受給権の確保に努めることが重要である

この記事はお役に立ちましたか?

ご評価いただきありがとうございます。
今後の記事作成の参考にさせていただきます。

また、他のページもよろしければご利用をお願いしておりますので、
検索機能」や記事の「 人気ランキング 」をご利用ください。

あわせて読みたい記事

人気の記事

年金のよくあるご質問

- 各種ご質問をご紹介 -

よくあるご質問はこちら