


痛みとの上手な付き合い方
〜「ペインクリニック」をご存知ですか?〜
2痛みは我慢してはいけない
痛みとは何なのか?
除去するべき痛みとは、この世に不必要な"悪"なのでしょうか? 本来はそうではありません。もともと、痛みは身体に異常が起きていることを教えてくれる大切なサインだからです。
しかし、痛みが体に長く居座ると、交感神経系や副交感神経系に異常が起こって、さらに痛みの元となる物質が生じやすくなるという悪循環が生じます。ひいては、うつ状態になりやすくなったり、身体機能が低下したりといったことが起こり、さらに我慢を続ければ見えないところに潰瘍ができるなど、体全体に不具合が生じて悪化する恐れもあります。
「そのため、痛みの悪循環を断ち切ることを最優先に、的確・確実に痛みを止める必要があるのです。また、痛みを感じているときは誰しもイライラして精神的に不安定になったり、原因がわからなければ不安になったりもするでしょう。ペインクリニックは、痛みを止めることで不安を取り除き、精神的な安定を取り戻すという重要な役割も担っています。」(佐藤先生)
痛みが原因で認知症が進むことも
痛みを我慢すると、深刻な状態を引き起こすこともあるので注意が必要です。たとえば、痛みがあると身体を動かさなくなり、意欲もなくなって食が細くなり、筋肉がやせ、筋力が落ちてさらに動けなくなる「サルコペニア」、内臓脂肪型肥満をきっかけに脂質異常、高血糖、高血圧になった人が、痛みがあると身体を動かさず、基礎代謝量が落ちて食事の量が同じでも太りやすくなる「メタボリックシンドローム」、また、特に高齢者の場合は、筋肉や関節の痛みのために移動機能の低下を来し、身体を動かさなくなることで生じる「ロコモティブシンドローム」、さらにさまざまな心身の機能の低下(廃用症候群)や認知症が急速に進行することが心配されます。
「このような負のスパイラルは、痛みを我慢することがきっかけで始まります。痛みの悪循環、負のスパイラルを断ち切ることが必要です。神経ブロックで痛みを止めれば、通常の生活が送れるようになって心身の機能の低下を防ぐことができ、身体のコンディションを回復させていくことができます。ペインクリニックの上手な利用で、元気で暮らせる時間(健康寿命)を長くできるともいえるでしょう。
また、がんによる痛みに対しても同様です。痛みを抑えれば安眠でき、食欲が戻り、体力がつきます。自信と意欲が出て、つらい闘病生活や強い抗がん剤治療などに立ち向かうことができるようになります。」(佐藤先生)
長く続く痛みはペインクリニックで受診を
自分の悩みには関係ないと思っている人も、ペインクリニックを受診すれば楽になるかもしれません。身体のあちこちに痛みがある状態が普通だとあきらめて放置していませんか。いくつかチェックしてみましょう。
☑ 五十肩
前触れはいろいろです。肩が冷えたように重だるく感じたりするものや、急に肩が痛くなり動かせなかったり、腕が上げられなくなる状態になるものもあります。いつしか痛みは治まりますが、痛くて長期間動かさないことで「凍結肩」になると、可動域が極端に狭くなってしまいます。ペインクリニックでは、まず神経ブロックで痛みを止めて、すぐに運動を開始します。痛みを止めてからどんどん動かすことで早く治せる症状です。
☑ 肩こり
いつも肩が凝っていて、時には吐き気や頭痛まで起こしてしまうこともあります。痛み止めとイライラを抑える抗うつ剤を常に服用している人も多いそうです。肩こりには、肩周りの血の巡りをよくして筋肉を柔らかくし、痛みを止める神経ブロックが効果的です。身体が楽になると精神的にも楽になり、次回の神経ブロックまではお風呂でほぐして対処するなど、痛みを冷静に見つめられるようになる好循環も期待できます。
☑ 片頭痛
頭痛を消炎鎮痛剤でやり過ごしている方も多いのではないでしょうか。でも、その薬、効果は出ていますか? 片頭痛は血管の収縮が原因で、血管にアプローチする薬ですぐに治すことができます。消炎鎮痛剤は片頭痛には効きません。消炎鎮痛剤で治まらない頭痛は、片頭痛を疑って受診してみるとよいでしょう。なお、くも膜下出血や脳腫瘍などが原因になっていることもあるので、MRIやCTで確認しておくと安心です。
☑ 神経障害性疼痛
痛みの悪循環を断ち切っても、長くあった痛みを脳が記憶して痛みが続く「神経障害性疼痛」という症状があります。炎症などを知らせる警報として痛みが発生し、炎症自体が治ってからも警報が誤作動して鳴り続けているようなイメージです。 この症状には、専用の内服薬や、異常が起きている交感神経のブロック注射で徐々に痛みを忘れさせていきます。また、「もう痛くない」という事実を少しずつ脳に覚えさせていく「認知行動療法」や、リハビリなどの治療法もあります。
☑ 帯状疱疹(たいじょうほうしん)
帯状疱疹は、ヘルペスウイルスの一種、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。水痘・帯状疱疹ウイルスは、長年にわたり身体の中に潜んでいるもので、水痘(水ぼうそう)にかかったことのある人なら誰でも帯状疱疹になる可能性があります。加齢やストレス、過労などが引き金となって免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始めます。ウイルスが神経根に現れ、その支配する領域の皮膚の酸素欠乏を起こすことで、帯状疱疹として発症します。身体の左右どちらか一方で疱疹が出ますが、その前に神経痛のような痛みが出ます。
神経痛のような疼痛で整形外科に行くべきか、皮疹(ひしん)を見て皮膚科に行くべきか迷うことが多いようです。ペインクリニックでは、硬膜外ブロックを行い、ウイルスに侵された神経根の周りの血流を改善することによって疼痛を止め、皮疹の改善を図ります。抗ウイルス薬を併用することで早く楽に治すことができます。
☑ 帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹の皮膚の症状が消えた後も、痛みだけが長期間にわたって残ることがあり、帯状疱疹になってから3ヵ月たっても痛みが残っている場合を帯状疱疹後神経痛(PHN)といいます。初期治療がうまくいかなかった場合や高齢の方、帯状疱疹の症状が重い場合に残りやすくなります。帯状疱疹後神経痛を残さないためには、帯状疱疹の痛みを我慢せず、できるだけ早く痛みの治療を始めることが大切で、ペインクリニックでの治療をお勧めします。仕方がないとあきらめていた方も、治療を開始すれば長年の痛みから解放されて、明るい表情になります。
痛みのストレスは思っている以上に負担が大きく、私たちの生活の質(Quality of Life)を脅かしているかもしれません。痛みは我慢すればいいというものではありません。ペインクリニックで積極的に痛みの解消を目指してみてはいかがでしょうか。
佐藤のり子先生 プロフィール
医学博士。兵庫医科大学を卒業後、兵庫医科大学整形外科入局。京都大学医学部麻酔科(疼痛外来)で研修。1996〜2001年、中日ドラゴンズ診療所所長兼チームドクターを務める。現在、医療法人社団 亀戸佐藤のり子クリニック(東京都江東区)院長。日本整形外科学会整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医、日本リハビリテーション学会認定医、日本ペインクリニック学会専門医、日本ペインクリニック学会評議員、日本体育協会スポーツドクター。
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