くらしすとEYE【第25回】老齢厚生年金と遺族厚生年金が併給されるケース2老齢厚生年金と遺族厚生年金が併給されるケース

遺族厚生年金のほうが多い場合は差額が併給される

 図表3の注釈に記したように、65歳以上であれば、老齢厚生年金と遺族厚生年金を併せて受けることができる場合があります。その仕組みは次のとおりです。

●65歳以上で老齢厚生年金と配偶者死亡による遺族厚生年金が受けられる場合

○まず、自分の老齢厚生年金が全額支給される。

○そのうえで、次の(a)(b)のうち高い方との差額が「遺族厚生年金」として支給される。

(a) 死亡した配偶者の老齢厚生年金の4分の3の額

(b) 死亡した配偶者の老齢厚生年金の2分の1と
  自分の老齢厚生年金の2分の1とを合算した額

65歳以上で老齢厚生年金と配偶者死亡による遺族厚生年金が受けられる場合

<事例>

Aさん

夫が亡くなったことで遺族厚生年金を受けていたAさん。
65歳になって自分の老齢厚生年金を受けられるようになった。

亡くなった夫の老齢厚生年金:年額160万円
(受けていた遺族厚生年金の額は、夫の老齢厚生年金の3/4の120万円)

Aさんの老齢厚生年金:年額100万円

遺族厚生年金のほうが多い場合は差額が併給される事例

① Aさんの自分の老齢厚生年金・・・100万円(全額支給)

② (a) 死亡した配偶者の老齢厚生年金の4分の3・・・120万円

③ (b) 死亡した配偶者の老齢厚生年金の2分の1(80万円)と
   自分の老齢厚生年金の2分の1(50万円)とを合算した額・・・130万円

④ ②<③により、③と①の差額を遺族厚生年金としてAさんに支給・・・30万円

受給する年金の選択には手続きが必要

 2つ以上の年金が受けられるようになったときには、受給する年金を本人が選択する手続きが必要です。年金事務所や年金相談センターにある「年金受給選択申出書」を提出してください。(選択しない年金は支給停止されるだけで、受ける権利はそのまま残されることになっています。)
 どの年金を選択することが有利かは、年金事務所に照会してみましょう。なお、老齢給付は課税対象ですが、障害給付は非課税です。選択に際しては、その点も考慮しましょう。

point

1.65歳以上で老齢厚生年金と配偶者死亡による遺族厚生年金が受けられるとき、老齢厚生年金が全額支給されたうえで、老齢厚生年金よりも遺族厚生年金のほうが高い場合には、その差額が併給される(遺族厚生年金は2つのパターンで算出した額を比較して決定される)

2.2つ以上の年金が受けられるようになったときには、受給する年金を本人が選択する手続きが必要である

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