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宮城県仙台市 健康福祉局保険高齢部保険年金課管理係

経済のグローバル化が進むなか、入国管理法が改正され、2019年4月、新たな在留資格が創設。今後ますます在留外国人の増加が見込まれる。そして、10月、年金生活者支援給付金の支給が始まる。これらにどう市区町村の国民年金事業は対応していくのか。また、今年は8月22日、23日に仙台市で全国都市国民年金協議会が開催される。その準備に熱が入る仙台市を取材した。

仙台市のデータ

○人口
 1,085,235人 

 *2019年4月1日現在

○第1号被保険者数
 123,566人(うち任意加入被保険者1,538人)

 *2019年3月31日現在

○免除者数
55,786人(うち法定免除11,630人、申請免除44,156人<うち全額免除17,521人、一部免除3,341人、納付猶予4,773人、学生納付特例18,521人>)

 *2019年3月31日現在

○国民年金受給者
老齢基礎年金227,381人、障害基礎年金15,534人、遺族基礎年金1,928人

 *2018年3月31日現在

○国民年金担当者数
本庁3人(年金係長0人、兼任係長1人、正規担当職員1人、再任用1人)
区役所・支所(出張所)42人(年金係長5人、国保兼任係長2人、正規担当職員13人、再任用職員0人、非常勤嘱託職員6人、臨時職員14人)

 *2019年4月1日現在

毎日の窓口での業務を大切に、地道に国民年金事務に取り組む

――仙台市の国民年金事業について教えてください。

北野課長 仙台市の国民年金事業は、健康福祉局保険高齢部保険年金課管理係が担当していますが、実際の窓口業務は政令指定都市であることから青葉区・宮城野区・若林区・太白区・泉区の5つの区役所、および青葉区の宮城総合支所と太白区の秋保総合支所で行っています。

資料1 大垣市の特色仙台市保険年金課管理係の主な業務

○国民健康保険事業特別会計等の予算及び決算
○国民健康保険事業に関する国庫支出金等
○国民健康保険,後期高齢者医療,国民年金システムの運用及び改修
○国民年金事業の総括
○国民年金事務費交付金
○国民年金事業の調査及び広報
○特別障害給付金事業の総括
○仙台市国民健康保険運営協議会
○特定健康診査及び特定保健指導の総括
○課の庶務

資料1 大垣市の特色仙台市の国民年金事業の窓口と管轄する年金事務所

――住民の皆さんは、区役所および総合支所の窓口で、どのように国民年金の事務手続をされているのですか。

服部主査 たとえば、引っ越しに伴う住民異動などの届書は、区役所の戸籍住民課に提出していただくのですが、届出用紙が複写式となっているので、1度、住所変更届に記入していただければ、国民健康保険、国民年金、介護保険の住所変更もそれで済むようになっていて、それを持って各担当の窓口に提出していただいています。

――仙台市の国民年金第1号被保険者ですが、地域的な特徴はありますか。また、窓口では現在、どのような手続やご相談が多く寄せられていますか。

髙橋管理係長 第1号被保険者にあまり地域性を感じたことはありません。ただ、どこの市区町村でも同じだと思いますが、近年、被保険者数は減少傾向にあります。

服部主査 業務内容について言えば、いまは年度末、年度初めなので引越しに伴う手続き、退職や就職に伴う手続、そのほか学生納付特例の新年度の手続が例年どおり多くなっています。4月からは国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除制度が始まりました。また、今年4月2日以降に基礎年金を受給する人については年金生活者支援給付金の事前受付が始まっていますが、どちらも、いまのところ目立って手続や相談で窓口が混雑するような状況には至っていません。

――20歳の職権適用にはどのように取り組まれていますか。

服部主査 年金事務所から、月末に仙台市に居住する、翌月20歳を迎える方の一覧表をいただいています。それにはすでに基礎年金番号が付番されているので、20歳になった方が窓口を訪れたときに、年金事務所に基礎年金番号を電話で確認しなくても、迅速に適用の事務処理ができるようになっています。
 しかし、20歳になる直前に転出した方については、住所異動の確認などが必要ですが、情報連携が始まれば、年金事務所と市との間でタイムラグによる行き違いが減るのではないかと期待しています。

――昨年、入国管理法が改正され、今年4月からは外国人について、新たな在留資格が創設されました。それに伴い、国は、「国民健康保険・国民年金については、保険料を一定程度滞納した者からの在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を不許可とする等の対策を講ずる」(「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」)としていますが、外国人の適用についてはいかがでしょうか。

髙橋管理係長 仙台市が、顕著に外国人が多いということではないのですが、区役所の窓口では年々、外国人による手続等が増えてきていると実感しています。国民年金については、外国人の適用はなかなかむずかしいと思うところがあります。外国人の皆さんは、国民健康保険は被保険者証がないと生活するうえで支障をきたすので、手続のため窓口に来てくれるのですが、先ほど申し上げた複写式の届出用紙を書いていただいても、国民健康保険の手続を済ませると、国民年金は素通りしてしまうようなことがあるように感じています。そうしたことから、年金事務所では日本語学校や外国人を雇入れている事業所に働き掛けを行ってくださっているとのことです。

服部主査 外国人の方にも免除制度をご利用いただきたいのですが、制度についてしっかりお伝えするのがむずかしいのです。会社や学校も対象になる方にお声がけをして下さるのですが、付き添って役所まで来ていただくのはなかなか難しいかと思います。国や自治体、日本年金機構、対象になる方が在籍する学校や事業者様みんなで、よりよい対応について考えていかなければならないと思います。

――ところで、マイナンバーの取扱いについてはいかがでしょうか。個人番号を年金関係の届書に記載される方はどの程度いらっしゃいますか。

服部主査 まだそれほど目立って多くはないです。やはり、基礎年金番号の記載による取扱いのほうが区役所では多いように聞いています。なかなか住民の皆さんは、マイナンバーカードを作ってくれていないというのが現状のようで、マイナンバーカードを持って役所に行って手続をするまでには至っていないという感じがします。また、マイナンバーを記載していただいても、通知カードだけご持参いただいた場合は本人確認が出来ず、結局はマイナンバーを活用できません。マイナンバーが浸透するまでにはもう少し時間がかかるかと見ています。

――国民年金の事務で特に心掛けていることはどんなことですか。

北野課長 やはり毎日の窓口での業務を大切にこなすという地道な取組をしていくということではないでしょうか。その一方で、年金の仕事は人事異動で新たに配属されても、すぐに対応できる業務ではありません。過去の国民年金事業の経緯や制度改正なども知っていなければならないので、研修や自分自身でも勉強するなどして詳しく制度について理解しておかなければならないことが多々あります。
 そうしたなか、職員数についても区役所などではかなり削減され、正規職員の異動もありますから、長く年金の仕事に携わっている職員が減ってきています。その意味では、知識の継承が課題だといつも感じています。

服部主査 仙台市では、5つの区と2つの支所合わせて7つの窓口があるので、区役所同士の担当者がお互いの顔も知らないということにもなりかねません。そこで、できるだけ顔を合わせる機会をつくり、区の担当者の横の連携を持ちたいと、私は常々思っていますが、その一方で、区では担当者の数が少ないということもあって、会合の場に職員を参加させるのも大変だとお聞きしています。顔合わせ会をしたり、研修会をしたりということも、なかなか思うようにできないのが現状です。
 研修については、初めて年金の係に着任した人を対象に実施していますが、スキルアップやフォローアップを目的とした研修はなかなか取り組めていません。そこで、今後は担当して2、3年経った職員のフォローアップ研修を実施していきたいと思っています。やはり、勉強し続けていかないと制度も次々に改正されていくので、対応できなくなってしまいます。

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