12月15日(火)は、一元化後の年金、10月分と11月分が支給されます。
在職年金の支給停止など、厚生年金と共済年金を受給している人の激変緩和措置などが制度設計したとおりの年金額が振り込まれ、大きなトラブルが発生することなくこの日を迎えられるのかどうか、実施機関の関係者はここを確認しないと安堵できないと思います。
今月は、読者のみなさんからいただいた質問から、筆者のほうで回答が用意できたものについて記します。引き続き、みなさんの疑問、質問をお寄せいただければと存じます(質問につきましては、ホームページ右上の「お問い合わせ」をご利用ください
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回答はすべてホームページ上からとさせていただきます。なお、すべての質問に回答することはできませんが、紙面づくりの参考にさせていただきます。
一元化後は、厚生年金保険の被保険者(1号厚年)だと、退職共済年金の受給権者は、障がい者特例に該当しますか? 〜一元化後の障がい者特例の該当要件〜
(1)一元化後の障がい者特例の該当要件の確認(地方公務員を事例として)
一元化後においては、他の種別の実施機関の被保険者であると、障がい者特例には該当しなくなります【一元化後の厚生年金保険法附則第9条の2】。
長期加入者の特例についても同様です【一元化後の厚生年金保険法附則第9条の3】。
実際に条文を確認してみましょう。
【一元化後の厚生年金保険法附則(昭29年)第9条の2】
第9条の2 附則第8条の規定による(筆者注:特別支給の)老齢厚生年金(第43条第1項及び前条の規定によりその額が計算されているものに限る。)の受給権者(第5項において「老齢厚生年金の受給権者」という。)が、被保険者でなく、かつ、傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この項、第4項、第5項、次条第5項、附則第9条の4第6項並びに第13条の5第1項及び第5項において「障害状態」という。)にあるとき(その傷病が治らない場合(その症状が固定した治療の効果が期待できない状態にある場合を除く。)にあつては、その傷病に係る初診日から起算して一年六月を経過した日以後においてその傷病により障害状態にあるとき。第5項及び附則第13条の5第1項において同じ。)は、その者は、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用を請求することができる。
2 前項の請求があつたときは、当該請求に係る老齢厚生年金の額は、第43条第1項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる額を合算した額とするものとし、当該請求があつた月の翌月から、年金の額を改定する。
一 1,628円に国民年金法第27条に規定する改定率(以下「改定率」という。(筆者注:平成27年度の改定率0.999))を乗じて得た額(その額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げるものとする。(筆者注:1,626円))に被保険者期間の月数(当該月数が480を超えるときは、480とする。)を乗じて得た額
二 被保険者であつた全期間の平均標準報酬額の1,000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額
青字の箇所を読んでいただけると、一元化後の障がい者特例の該当要件が理解できると思います。つまり、厚生年金保険の被保険者である期間は、該当しないということになります。
(2)一元化前から障がい者特例に該当していた場合
なお、【事例1】のように、一元化前から障がい者特例の適用を受けていた受給者については、次のような、激変緩和措置が適用されると認識しています。