160歳、定年後の就業が一大テーマ

高年齢者雇用安定法が改正

 とある日曜日の昼下がり。いまやアラ還(アラウンド還暦)となった幼なじみ4人組のA男(59歳)、B子(60歳)、C男(62歳)、D男(61歳)が久々に顔を合わせてホームパーティ。ほろよい気分になったところで、出てきたのは定年退職後の仕事と年金の話だ。

A男:僕、もうじき60歳になり定年を迎えるんだ。でも、再就職しようかどうか迷っていて・・・・・・。引き続き働いた場合に給料や年金額はどう変わるのかというのも、気になるところなんだよね。
B子:わかるわぁ、その気持ち。私もちょっと前に定年になったけど、いろいろ考えて結局は再就職したのよ。
C男:俺もさ。
D男:僕は再就職ではなくて継続雇用を選んだ。そういえば、高年齢者雇用安定法が改正されて、平成25(2013)年度からは希望する人はだれでも65歳まで継続雇用されるようになったんだよね。詳しくはどういう内容だったかなぁ?

高年齢者雇用安定法の改正で希望すればだれでも65歳まで継続雇用可に


 平成24(2012)年8月29日、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、平成25(2013)年4月1日から施行されました。
 これまでの高年齢者雇用安定法では、65歳まで継続雇用する対象者の基準を事業主が労使協定により定めることができたため、全員が継続雇用の対象者とはならないこともありました。しかし平成25年度からは、65歳までの継続雇用を希望した人はだれでも60〜64歳の定年後、65歳までは続けて働けるようになり、60〜64歳定年後の再就職についての判断は自分で行うことになりました。

年金がもらえるまで無収入になる人も

A男:僕は来年60歳になるけど、特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢が61歳からなんだよね。60歳で退職すると1年間無収入だよ。
B子:あなたはまだいいわよ、1年間なんだから。今後は、5年間無収入の人だって出てくるわけでしょ?
C男:そうすると、定年後ももっと働きたいという人が出てくるということか・・・。


平成25度から特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が引上げに


 今回の高年齢者雇用安定法改正の背景には、平成25年度から始まる特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢の段階的引上げがあります。平成25年度に60歳になる昭和28(1953)年4月1日生まれの男性から支給開始年齢は61歳となり、昭和36(1961)年4月2日以降生まれの男性、昭和41(1966)年4月2日以降生まれの女性は全員、65歳から年金をもらうようになります
 つまり、65歳前に定年退職し無職になると、65歳までは無年金のため無収入になってしまうケースが生じるというわけです。そうした状況を避けられるよう、希望した人はだれでも65歳まで継続雇用されることが可能になったわけです。

現状では何歳まで働きたいという人が多い?


 現状では何歳まで働きたいと考えている人が多いのでしょう? 厚生労働省の「高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書」(平成18年)によると、「65歳まで」と答えた人が26.8%(男性30.7%、女性では23.2%)を占めトップ。次に多いのが「60歳まで」で22.3%(男性20.2%、女性24.2%)となっています。しかしこの数字も、前述の法改正等により今後は変わってくるかもしれません。

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