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那覇年金事務所(沖縄県那覇市)

 沖縄県では昭和45(1970)年4月に国民年金制度が発足。本土より9年遅かった。このことが年金制度への理解がなかなか進まない原因ともなった。しかし、沖縄県内の年金事務所は日本年金機構発足当初からお客様へのサービス向上に励み、適用・徴収・給付・相談の基幹業務への取組により、厚生年金保険での高い納付率、国民年金保険料の納付率の高い伸び幅を実現した。那覇年金事務所に沖縄の年金制度の取組み方を取材した。

未納者の心に訴えかける納付勧奨が功を奏す――大城仁国民年金課長

 大城仁国民年金課長は2013年10月に博多年金事務所の厚生年金徴収課長、2014年4月に小倉北年金事務所のお客様相談室長、そして2016年4月に那覇年金事務所の国民年金課長に着任した。国民年金課の職員は18名だ。

20歳の職権適用では親にも制度理解を促す

 沖縄県は特に若年層の納付率が低いため、那覇年金事務所では職員による戸別訪問を重点的に実施して、年金制度を説明している。その場合、親の理解と協力が大切だと大城課長は考える。
 「沖縄県は全国と比べて20歳代前半(20~24歳)の納付率が30ポイント以上も低いのです(図3)。それには、家庭で年金保険料を納めることについての会話がないことが影響しているのではないかと思われます。20歳のスタート時点でそのような状況であることから、20歳の職権適用のときには、外回りの職員あるいは市場化テストの受託事業者には、親御さんも含めて年金制度を周知していただくよう取り組んでもらっています」と大城課長は沖縄県における適用対策の現状を語る。

図版見出し 図3 沖縄県の20歳代の国民年金保険料納付率

出所:日本年金機構 那覇年金事務所「第8回沖縄県地域年金事業運営調整会議」資料(2018年2月15日)

収納対策として送付する書類も開いて見てもらう工夫を

 「収納対策として、事務所からは納付勧奨や特別催促状などさまざまな書類を送付していますが、いかに封を開けて中を見てもらえるか、工夫しています」と大城課長が話すように、発送する封筒の色や大きさに変化をつけたり、伝えたい内容が一目でわかるように見出しのシールをつけたり、見てもらうための努力を惜しまない。
 添付するチラシについても、自分にどれだけメリットがあるかを強調するようにしていると言う。
 「たとえば多段階免除に該当している方には、具体的に多段階免除で実際に納める保険料額を明示します。また、未納となっている期間すべての納付書が送られてくると、全額をすぐには払えない場合、放っておかれてしまうので、ひと月分ずつでもいいんですよということで、高いハードルを感じさせないよう、まずは払い始めることを働きかけるようにしています」と大城課長は未納者の気持ちに訴える納付勧奨を行う。
 管内の離島6村では、若者が島に戻ってくるときが広報活動のねらい目となる。農産物の収穫時期や旧正月、年1回のお祭りの時期に合わせて、電話勧奨や戸別訪問、相談会を実施している。さらには村民とは顔見知りであったりすることから、村役場の担当者にも協力を依頼して、防災無線広報や電話による案内のほか、戸別訪問にも同行してもらう。こうしたきめ細かい収納対策により、効果も上がっていると大城課長は話す(表3)。

図版見出し 表3 那覇年金事務所管内区域の2017年度国民年金納付率(現年度分)

出所:厚生労働省ホームページ「市区町村別国民年金保険料の納付状況(2017年度の現年度分)」

市町村との協力・連携では年3回の協議会で信頼関係を構築

 管内11市町村とは年3回協議会を開催し、市町村の担当者と活発な意見交換、質疑応答を行う。年金事務所はオブザーバーとして毎回参加することで、市町村との信頼関係を築いている。特に、那覇市役所の国民年金担当とは月1、2回連絡会議を開いて国民年金事務が円滑に進むよう協力・連携に取り組んでいる。
 「年金事務所が市町村に対して国民年金事務を指導したり、教えたりするという関係ではなく、まずはお互いコミュニケーションがスムーズにいくように信頼関係を作ることが大切です。そうすれば協力・連携もスムーズに行きますし、年金事務所と市町村とが取り組む国民年金事業も最大の効果を得られると思います」と大城課長は語った。

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