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那覇年金事務所(沖縄県那覇市)

 沖縄県では昭和45(1970)年4月に国民年金制度が発足。本土より9年遅かった。このことが年金制度への理解がなかなか進まない原因ともなった。しかし、沖縄県内の年金事務所は日本年金機構発足当初からお客様へのサービス向上に励み、適用・徴収・給付・相談の基幹業務への取組により、厚生年金保険での高い納付率、国民年金保険料の納付率の高い伸び幅を実現した。那覇年金事務所に沖縄の年金制度の取組み方を取材した。

予約制で事前に記録漏れを確認し効率的な年金相談を
――與儀さおりお客様相談室長

 與儀さおりお客様相談室長は2017年4月に那覇年金事務所お客様相談室長に着任した。前職は1年間、浦添年金事務所のお客様相談室の室長補佐、前々職は那覇年金事務所のお客様相談室の室長補佐であった。
 お客様相談室のスタッフは20名。窓口が7名、バックヤードが13名の人員配置となる。相談ブースは全部で9ブースあり、7ブースを職員が担当し、2ブースを社会保険労務士会に委託している。
 最近は予約制が浸透し、待ち時間はほとんどない。予約制のメリットはそればかりではない。前もってお客様の質問や年金記録を確認し、準備ができるので効率的な相談対応が可能となる。「沖縄県では、他県と違い、まだまだ記録漏れが多いのが現状です。だから、記録漏れがあることが事前にわかっていれば、お客様が相談に見えられると、まずは記録突合することから始めることができます」と與儀室長は、予約制のおかげで、何から相談対応すればいいのか順序立てた対応ができるようになったと話す。
 相談・請求などによる相談窓口での対応件数は1日平均60件。最近は源泉徴収票の再交付が多かったことから、3月は1日平均110件くらいになった。

年金相談ではよく受ける質問内容の傾向を把握・共有しておくことが勘どころ

 お客様からの年金相談を一手に引き受けるお客様相談室がもっとも重視するのが、お客様からの質問や疑問にしっかり対応できる、年金制度に対する正確な知識と相談対応力だと與儀室長は言う。
 そうした知識とスキルを身につけるため、お客様相談室では月1回室内会議を開催。伝達事項を済ませた後の時間は勉強会に充てている。それとは別に、月1回は勉強会だけを開催している。
 「勉強会の目的は、単に年金制度についての知識を習得することだけにあるのではなく、お客様の多くが疑問にもったり、多くのお客様に関係するにもかかわらずその対応に窮してしまったりするような事案に対して、しっかり対応できるようにしておくことにあります。したがって、沖縄県では、沖縄特例についてはよく勉強会のテーマになります」と言う與儀室長だが、人事異動でお客様相談室に新たに配属された職員は必ずと言っていいほど、沖縄特例を勉強会のテーマに挙げるとのことだ。
 また、年金制度に対する理解や知識とともに、お客様相談室の職員に求められるのが、情報の共有だとも與儀室長は言う。
 「最近お客様からよく受けるようになった質問内容の傾向についても共有しておくことで、よりわかりやすい回答を前もって勉強し、用意しておくこともできます」と與儀室長は話す。

 最後に今後の抱負を伺うと、「一番は職員のスキルアップですね。そうしないと、お客様に対して間違った説明をしたり、結果的に不利益を与えることになってしまったら大変です。そうしたことがないよう常にスキルアップを図っていきたい」と與儀室長は答える。

前列中央が本濱哲二所長、その右が知念勝副所長、左が仲間須賀子前副所長。後列左から與儀さおりお客様相談室長、宇根良愛厚生年金徴収課長、新垣憲三厚生年金適用調査課長、大城仁国民年金課長。

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