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掲載:2022年2月15日

“目で見る”年金講座【第38回】
年金にかかる源泉徴収税額

前回の記事(『年金受給者も確定申告をするの?』)で、一定金額以上の年金を受給する際には所得税等が源泉徴収されていることに触れたところ、その源泉徴収税額はどのように計算されるのかというご質問をいただきました。今回は、年金にかかる源泉徴収税額について解説します。

くらしすとEYE【第38回】老齢年金は雑所得として課税される1老齢年金は雑所得として課税される

源泉徴収の対象となるのは

 老齢年金等(老齢基礎年金、老齢厚生年金、旧厚生年金など)には、所得税法により、雑所得として所得税がかかります(障害年金、遺族年金には税金がかかりません)。
 年金の支払者である厚生労働大臣は、年金を支払う際に所得税を源泉徴収することになっていますが、源泉徴収の対象となるのは、支払年金額が158万円(65歳未満の人は108万円)以上の人になります。つまり、収入が公的年金のみであれば、65歳未満の人は受給額が108万円未満の場合、65歳以上の人は受給額が158万円未満の場合、所得税を払う必要がありません。この場合、年金支給額から公的年金等控除額基礎控除額を引くと、課税対象となる所得が0になるからです(図表1および図表2を参照)。
 なお、65歳以上であるかどうかは、その年の12月31日の年齢によって判定されます。令和3年分の控除額を決定する場合は、昭和32年1月2日以後に生まれた人は65歳未満、昭和32年1月1日以前に生まれた人は65歳以上として扱われます。

【図表1】公的年金等控除額(合計所得金額が1,000万円以下の場合)

  公的年金等の収入金額(A) 公的年金等控除額
65歳未満 130万円未満 60万円
130万円以上410万円未満 (A)×25% + 27.5万円
410万円以上770万円未満 (A)×15% + 68.5万円
770万円以上1,000万円未満 (A)×5% + 145.5万円
1,000万円以上 195.5万円
65歳以上 330万円未満 110万円
330万円以上410万円未満 (A)×25% + 27.5万円
410万円以上770万円未満 (A)×15% + 68.5万円
770万円以上1,000万円未満 (A)×5% + 145.5万円
1,000万円以上 195.5万円

【図表2】基礎控除額

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

「扶養親族等申告書」の提出

 所得税には、前述の公的年金等控除や基礎控除のほかに、配偶者控除や扶養控除、障害者控除など、各種の所得控除があります(図表3参照)。源泉徴収の際にこの控除を受けるには、あらかじめ「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を日本年金機構に提出しておく必要があります。この申告書の用紙は、毎年8月に日本年金機構から対象となる年金受給者に送られてきます。
 なお、支払年金額が158万円(65歳未満の人は108万円)未満の人は、前述のとおり、源泉徴収の対象ではないので、扶養親族等申告書を提出する必要はありません。
 また、以前は、扶養親族等申告書を提出しないと所得税率が2倍となり、必要以上に所得税が天引きされてしまうといったことがありましたが、税制改正によって、令和2年分以降の扶養親族等申告書については、提出した場合と提出しなかった場合とで所得税率に差がなくなりました。したがって、各種控除に該当しない人(受給者本人が障害者や寡婦等に該当せず、控除対象となる配偶者または扶養親族がいない人)は、扶養親族等申告書を提出する必要がなくなっています

年金にかかる源泉徴収税額の計算式

 年金にかかる所得税および復興特別所得税の源泉徴収税額は、次の計算式で計算します。(復興特別所得税については下記コラム「復興特別所得税とは」を参照のこと)。

●扶養親族等申告書を提出した場合

源泉徴収税額 = ( 年金支給額 - 社会保険料各種控除額 )× 合計税率
【社会保険料】 年金から特別徴収された介護保険料および国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)の合計額
【各種控除額】 ➡ 図表3
【合 計 税 率】 5.105% = 所得税率(5%)× 102.1/100(※)
※下記コラム「復興特別所得税とは」を参照のこと。

【図表3】各種控除額

対      象 控除の種類 月額控除額(1か月あたり)
受給者全員 公的年金等控除、
基礎控除相当
1か月分の年金支払額×25%+65,000円
(最低135,000円(65歳未満:9万円))
控除対象配偶者が
いる場合
配偶者控除 32,500円(年額390,000円)
老人控除対象配偶者相当 40,000円(年額480,000円)
控除対象扶養親族が
いる場合
(16歳以上)
扶養控除 32,500円(年額390,000円)×人数
特定扶養親族控除 52,500円(年額630,000円)×人数
老人扶養親族控除 40,000円(年額480,000円)×人数
受給者本人、
同一生計配偶者、
扶養親族が障害者の場合
普通障害者控除 22,500円(年額270,000円)×人数
特別障害者控除 35,000円(年額420,000円)×人数
同居特別障害者控除 62,500円(年額750,000円)×人数
受給者本人が寡婦、
特別寡婦、寡夫の場合
寡婦控除 22,500円(年額270,000円)
特別寡婦控除 30,000円(年額360,000円)
寡夫控除 22,500円(年額270,000円)

【コラム】復興特別所得税とは

 平成23年12月2日に「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」が公布され、「復興特別所得税」が創設されました。これにより、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得について所得税が源泉徴収される際、併せて復興特別所得税が源泉徴収されます(平成25年2月に支払われた年金から)。
 復興特別所得税の額は、源泉徴収される所得税の額の2.1%相当額とされ、所得税の源泉徴収の際に併せて源泉徴収されるため、源泉徴収の対象となる支払金額等に対して、所得税率5%の102.1%、すなわち5.105%を合計税率として乗じて、源泉徴収税額が計算されます。

●扶養親族等申告書を提出しない場合

源泉徴収税額 = ( 年金支給額 - 社会保険料控除額 )× 合計税率
【社会保険料】 年金から特別徴収された介護保険料および国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)の合計額
【控 除 額】 ➡ 図表3の「対象者:受給者全員」の欄
 → 1か月分の年金支払額×25%+65,000円
  (最低135,000円(65歳未満:9万円))
【合 計 税 率】 5.105% = 所得税率(5%)× 102.1/100(※)
※上記コラム「復興特別所得税とは」を参照のこと。

 扶養控除や障害者控除などの各種控除に該当していても、扶養親族等申告書を提出していないと該当する控除が受けられず、提出した場合と比べて多くの所得税が源泉徴収される場合がありますので、注意してください。
 各種控除に該当しない場合は、提出した場合と提出しなかった場合とで源泉徴収税額に差はありません。

point

●支払年金額が158万円(65歳未満の人は108万円)以上の人は、源泉徴収の対象となる

●配源泉徴収の際に、偶者控除や扶養控除、障害者控除などの各種所得控除を受けるには、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出しておく必要がある

●源泉徴収税額は、(年金支給額-社会保険料-各種控除額)×合計税率(5.105%)により計算される

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