第55回 全国都市国民年金協議会総会及び研修会が松山市で開催
松山市総合コミュニティセンター

 第55回全国都市国民年金協議会(以下、都市協)が8月24・25日の2日間、四国ブロック・愛媛県松山市の松山市総合コミュニティセンターで開催された。参加したのは、加盟813市区のうち192市区(243名)であった。出席できなかった621市区からはすべて委任状を受けている。
 1日目は分科会が開催された。テーマ別に4つの分科会が開かれ、それぞれの分科会には各ブロックからの代表が出席して、テーマごとに地域における課題や現状について議論した。2日目は総会と研修会が開催された。研修会では、玉木伸介氏(大妻女子大学短期大学部教授)による基調講演が行われた。その後、分科会の報告が各会のリーダーより行われた。

2日目(1):総会 ~要望書(案)を全会一致で可決・提出

全国都市協議会 写真2

挨拶を行う野志克仁松山市長

 総会の冒頭、開催市の野志克仁市長より歓迎の挨拶があった。
 来賓祝辞では、加藤勝信厚生労働大臣の祝辞を同省年金局の竹林悟史事業管理課長が、また、日本年金機構の水島藤一郎理事長の祝辞を同機構の菅野惠文事業推進統括部長が、それぞれ代読した。来賓は両氏を含めて厚生労働省から8名、日本年金機構から14名を迎えた。
 続いて、会務報告と議案審議が行われた。議長は全会一致で松山市保健福祉部長の松原ゆき氏に決定した。議案審議では、第1号議案の「要望書について」、第2号議案の「会則改正について」、第3号議案の「次期開催市について」が審議された。
 第1号議案に関しては、厚生労働省に対する「国民年金制度改善についての要望書(案)」が審議され、全会一致で承認された。この「要望書(案)」の内容は下記のとおり。
 第2号議案となっている「全国都市国民年金協議会会則」は「名称」、「目的」など第1~12条と附則からなっている。今回の改正では、第10条の「経費」として会議出席者負担金」(下線部を追加)を充てることとし、附則として「この会則は「平成29年8月25日から施行する。」を追加した。
 第3号議案では、来年の第56回総会の開催市として、第56回総会開催地区である九州ブロックの大分市で開催されることが全会一致で承認された。

国民年金制度改善についての要望書(案)

※要望事項のみを抜粋

1 国民年金事務の一元化について

(1)給付事務の窓口一元化

 国民年金事務の一元化に向けて、すべての給付事務の段階的な事務移管をすみやかに検討すること。
 特に、障害基礎年金については、障害内容及び年金制度に関する総合的で専門的な知識を必要とするため、比較的短期間で異動があり、しかも少人数で担当せざるを得ない市区町村職員では対応の質の維持や継承が困難なため、請求者の相談ニーズに十分応えることができていない状況である。納付記録や併給に関する確認に時間を要していることに加え、書類不備による返戻等も多く、請求者の負担を増やすこととなっている。
 そのため、年金記録を保有し、専門的な職員体制の構築が可能な日本年金機構における給付事務の窓口一元化を重点的に検討すること。

(2)障害状況確認届の直送化

 障害状況確認届については、郵送を中心としたやり取りであることから身近なところで受付する必要がなく、迅速な審査につなげるためにも、市区町村を経由せず、受給権者が障害年金センターに直送できるようにすること。

(3)研修・情報提供の充実

 市区町村職員の一定の知識確保のため、研修体制の充実を図ること。
 また、市区町村での新規事務が発生する場合や取扱いを大幅に変更するような法改正時には、日本年金機構と連携のうえ、事前の事務説明会を開催し、早期に詳細な情報提供を行い、市区町村に十分な事務準備期間を確保すること。

2 国民年金事務費交付金について

(1)事務費交付金等の事務軽減

 交付金申請や決算にかかる事務は複雑かつ膨大であり、短い時間での報告となることから、市区町村の負担が非常に大きいため、簡略化を図ること。
 また、交付金変更にかかる通知については各市区町村の予算編成時期を考慮すること。

(2)「マイナンバー制度」による影響の軽減

 「マイナンバー制度」の導入にあたり、国と地方の情報連携が始まることによって被保険者の利便性は向上すると考えられるが、市区町村における国民年金事務が必ずしも軽減させるわけではないため、国民年金等事務取扱交付金が急激に下がらぬよう特段の配慮を行うこと。

(3)臨時的業務への対応

 「受給資格期間短縮に伴う生活保護担当課への回答」など臨時的業務についても国で予算を確保し、全額負担すること。

3 国民年金制度に係る要望について

(1)納付意欲を高める制度の構築

受給資格期間短縮の実施により、無年金者への対策は一定なされることとなったが、その一方で、被保険者の納付意欲の低下が懸念される。実際に、免除申請の件数も年々増加しており、特に若年者は年金制度への不安や不信感が強く、保険料の納付意識が低いと考えられる。
 そのため、保険料を納付しやすい環境を整備し、納付義務を果たしている人を含め、全ての被保険者の納付意欲を高める制度の構築を図ること。

(2)国民に信頼され、安心をもたらす制度設計

 市民対応時に年金制度への不安な思いを聞くことは非常に多い。少子高齢化により、年金制度を取り巻く環境は非常に厳しいが、この国民の不安を今後の制度設計に活かし、国民に信頼され、安心をもたらし、国民の生活を守る頑丈な制度の構築を要望する。
 また、国民が年金制度を理解し納得できるよう、わかりやすい説明と広報を展開すること。

(3)障害基礎年金受給権者の所得状況の確認

 20歳前傷病による障害基礎年金受給権者の所得状況の確認について、今後予定されている年金生活者支援給付金システムやマイナンバーによる情報連携を使用する所得確認のみでなく、現行の国民年金市町村事務処理基準第22条第2項に規定されている生活保護台帳や国民健康保険(税)賦課台帳による確認方法を維持すること。

4 日本年金機構への要望について

(1)市区町村への情報提供

日本年金機構における書類取扱い内容の変更等については、十分準備する猶予を確保し、事前に市区町村に連絡をすること。
 広域事務センターへの統合や障害年金センターへの一元化に伴い 、それまでと同様に受付した書類が返戻となる事案が発生しており、被保険者や請求者への説明に苦慮している。書類の審査や取扱いの変更については、事前に市区町村に連絡をいただき、円滑な移行を図ること。
 また、被保険者への納付書発送や市区町村へのリスト類の発送も遅延していることから、早期に改善を図ること。

(2)市区町村との連携強化

日本年金機構事業推進統括部に新設された市区町村連携グループは、自治体窓口の円滑な事業推進のために設置され、その役割は、年金事務所と自治体が協力・連携のもと実施する事務について積極的に支援することであると認識している。そのために、年金事務所等における適正な人員配置を行い、自治体と迅速で密な連絡調整をとれるよう、年金事務所・ねんきん加入者ダイヤルやねんきんネットを含め、問い合わせ及び自治体への情報提供体制の充実を図ること。
 また、市区町村職員との実際の事例を想定したシミュレーションや実践的なケースワーク研修や質疑応答集の作成など、各種研修体制の充実と強化や出張相談の回数増を図ること。

(3)事務処理マニュアルの提供

事務の平準化を図るため、一元化された日本年金機構のマニュアルを市区町村にも提供できることについて、各年金事務所に対して取扱いの徹底を図ること。
 平成25年度の日本年金機構の事務処理マニュアル開示に関する要望に対し、「開示・提供のご要望のある市区町村に対して、原則提供」と回答いただいていいるが、いまだ各年金事務所からはマニュアルを提供できないと回答を受けることが多いため、対応を図ること。

平成29年8月25日

全国都市国民年金協議会 
会長 松山市長 野志克仁

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