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岐阜県大垣市 福祉部窓口サービス課国民年金グループ

 今年で市制100周年を迎えた大垣市。2年後に完成する新庁舎ではワンストップサービスをさらに徹底させた行政窓口の配置で、住民サービスのさらなる向上を図る。その一方、法定受託事務とされる国民年金事業では限られた人員のなか、国には実情に合った交付金の配分を求める。炎天下の7月中旬、岐阜県大垣市福祉部窓口サービス課の柳瀬孝優保険年金・医療課長と同課国民年金グループの浅野清美主査が取材に応じてくれた。

人員削減と相談業務に対応した人材配置を支えるよう
国民年金等事務取扱交付金のあり方を見直してほしい

――国民年金事業について、工夫して取り組まれていることなどがあればご紹介ください。

浅野主査 残念ながら、現在の国民年金グループはぎりぎりの人員体制なので、日々の業務をこなすだけで精一杯で、なかなかそれ以上のことに取り組もうというモチベーションが生まれにくい状況にあります。その日窓口で受付けた書類等の処理に追われつつ、同時進行で、当市を管轄する大垣年金事務所や名古屋事務センターが受付けた書類に対して、市のほうで所得状況を確認したり、当市の被保険者台帳に反映させるための入力をしたり、あっという間に1日が終わってしまいます。また、交付金に関する事務や制度改正に伴うシステム開発の委託契約なども、国民年金グループが担当しています。
 そんな中、ここ2~3年意識的に取組んでいることがひとつあります。それは、障害年金受給者の申告率を上げるということです。というのは、所得状況の確認については今のところ、来年度消費増税に伴って予定されている年金生活者支援給付金に使うシステムを利用し、日本年金機構が直接所得確認することになるわけですが、基本的に、障害年金を受給されている方は、住民税を申告する必要がない方が多いので、そういう方には何か所得の申出書のようものを提出していただくことを検討されていると聞いてます。機構は、受給者と機構の間で完結させるつもりだと言っていますが、市への問合せが殺到することは明らかですし、最悪支給が止まってしまうことにもなりますので、なるべく今のうちから、障害年金を受給している方には所得を「0円」として申告するように、と推奨しています。課税課には負担をかけていますがね。

――今年3月5日からはマイナンバーを年金の手続でも利用できるようになりましたが、こちらでの利用状況やお客様への対応などはどう変わりましたか。

浅野主査 マイナンバーを利用することで、実務面ではだいぶ助かっています。住民票の異動があった場合、年金機構のほうでマイナンバーを利用して、住所異動を確認することになり、市としての事務量も減りましたし、お客様にとりましても、一つ手続の手間が省けましたので、比較的待ち時間等も短くなりましたね。

――国民年金事業において、年金事務所とは具体的にはどのようなやり取りをしているのでしょうか。

浅野主査 大垣年金事務所とは距離にして2、3キロ離れているのですが、とりわけ国民年金担当課とは連絡を密に取り合っています。被保険者の最新の年金記録を確認するときなどは、電話で親切に教えていただけますし、年金相談でもレアなケースに当たったときにも、その都度、電話で対応していただいております。
 しかし、請求関係の手続きでときどき、年金事務所から市役所に行くよう指示されて窓口にいらっしゃる方のなかには、よくよく聞いてみると、国民年金という言葉だけで法定受託事務とされていない手続きまで市役所でできると言われていたようなのです。お客様には、事情を説明して、再度、年金事務所に行っていただいているのですが、そうしたトラブルが一番多いですね。

――年金機構からウインドウマシーンを借り受けて窓口業務に活用していますか。

浅野主査 今のところ、年金事務所とは電話をすればつながり、情報提供もスムーズに行っていますので、ウインドウマシーンは必要ありません。また、ねんきんネットが使用できる環境ではあるのですが、ねんきんネットは立ち上げから確認したい年金記録まで行き着くまで、結構手間がかかります。アクセスするたびに暗証番号が変更され、それを入力しなければなりませんから、むしろ電話で、目の前にいるお客様の基礎年金番号を伝えれば、年金事務所からすぐに答えが返ってくるので、当市では手っ取り早く対応できる電話での確認を中心としています。

――近隣市との国民年金事業についての連携はいかがですか。

浅野主査 新しい事業が始まると、システム改修をどうするかということが話題になったりしますが、岐阜県では大垣市は県庁所在地の岐阜市に次いで人口も多く、このあたりは西濃地域と言うのですが、この中では一番大きい自治体ということで、むしろ他市町との連携と言うよりも、参考とするため当市の対応を聞かれることのほうが多いです。

――法定受託事務ではどんなことが課題となっていますか。

浅野主査 国民年金等事務費は100%交付金で賄うとされていますが、実際使った額と計算した額の少ない方の額が交付されています。時代に合わせて仕事の内容が変わり、対応する職員も正規であったり、非正規であったりします。そういう実情に応じた交付金の出し方を、検討していただきたいと思います。たとえば、自治体では職員を減らして臨時職員を増やしています。それは当市でも事情は同じですが、交付金での扱いは人件費の枠と物件費の枠があり、臨時職員は物件費枠となっています。したがって、人手が足りなくても、臨時職員では人件費枠が使えません。
 また、さまざまな事務内容がシステム化され、電子媒体化も進んで、データでのやりとりも一般化しています。所得情報についても将来は市を通さず、年金機構が直接確認できるようになると、市の業務量もだいぶ減ることになるでしょう。そうしますと、入力作業のような単純業務はなくなっていく一方で、高齢化社会の影響もあり、受給に関わる相談等の業務が増えてくるのではないかと思います。いわゆる国と市町村との協力・連携のもとで行う協力連携事務ですが、こうした業務に対応していくにはある程度のスキルを持ったスタッフを確保しておかなければなりません。内容によっては、数年で異動する正規職員では不可能な業務ですね。ここでも交付金のあり方が問題になってくるのですが、厚生労働省には、スキルを持った臨時職員を人件費枠で確保できるよう、交付金のあり方を見直していただきたいと思います。または、交付金という形ではなく、希望する自治体へは年金機構の職員を派遣していただくなど、大胆な発想も期待したいです。

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