ご質問に関するご回答【ご質問】雇用保険制度の求職者給付と、特別支給の老齢厚生年金の関係はどのようになっているのでしょうか?

60~64歳で退職したり失業した場合、雇用保険制度求職者給付を申請することができます。しかし、特別支給の老齢厚生年金とは併給はできず、特別支給の老齢厚生年金は全額が支給停止となります。求職者給付を受けたほうがいいのか、特別支給の老齢厚生年金を受けたほうがいいのかの判断はご自身でしなくてはなりません。なお、求職者給付の期限が切れて支給されなくなれば、特別支給の老齢厚生年金は給付されるようになります。

求職者給付(基本手当)

*2022(令和4)年8月~

60歳以上65歳未満の人(雇用保険被保険者)が退職・失業した場合、本人の申請により求職者給付の給付金(基本手当)を日額単位で受けることができます。

基本手当日額=賃金日額×給付率

【60~64歳の賃金日額】

賃金日額=退職日(失業日)以前6ヵ月の月々の賃金(賞与は含まない)の合計÷180日

60~64歳の賃金日額上限は15,950円です。

【60~64歳の給付率と賃金】

賃金日額(w) 給付率 基本手当日額(y)
2,657円以上 5,030円未満 80% 2,125円~4,023円
5,030円以上 11,120円以下 80~45% 4,024円~5,004円
11,120円超 15,950円以下 45% 5,004円~7,177円
15,950円(上限額)超 7,177円(上限額)

※y=0.8w−0.35{(w−5,030)/6,090}wまたはy=0.05w+4,448のいずれか低い方の額とします。

【60~64歳の給付日数】

  被保険者だった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
定年・自己都合による退職 90日 120日 150日
倒産・解雇などによる失業 90日 150日 180日 210日 240日

特別支給の老齢厚生年金を受けられる人にとって、退職した場合、求職者給付の基本手当を受給するか年金を受給するかは二者択一になります。ただし、求職者給付は退職した後に再就職の意思を持って求職活動をすることが前提となりますのでご留意ください。

求職者給付の基本手当と特別支給の老齢年金の比較

〈例①〉Aさん(会社員・59歳・女性)の場合

Aさんは1962(昭和37)年4月1日生まれで、60歳で30年勤めた会社を定年退職することになっています。62歳から特別支給の老齢厚生年金が受けられるようになっています。Aさんの平均給与は月額30万円です。特別支給の老齢厚生年金は120万円です。

【失業手当の計算】

○Aさんの賃金日額 300,000円×6ヵ月÷180日=10,000円

○基本手当日額 0.05×10,000円+4,448円=4,948円(上表計算式の低い方を採用)

○給付日数 150日

○失業手当総額 4,948円×150日=742,200円(1ヵ月148,800円相当)

【特別支給の老齢年金の計算】

○Aさんの年金の基本月額は10万円

求職者給付の手続き

本人が住所地の公共職業安定所(ハローワーク)に出向き求職の申込を行うと「雇用保険被保険者離職票」が手元に届きますので必要事項を記入して提出します。受給が決定すると「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が届きますので、4週間に1回「失業認定申告書」を提出します。

【持参するもの】

□払渡希望金融機関指定届(雇用保険被保険者離職票についている)

年金事務所への手続き

求職者給付を受けるようになったときは、本人が年金事務所に「老齢厚生・退職共済年金受給権者 支給停止事由該当届」を提出します。

【持参するもの】

□雇用保険受給資格者証

様式1 老齢厚生・退職共済年金受給権者 支給停止事由該当届

老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始自由該当届

この記事はお役に立ちましたか?

ご評価いただきありがとうございます。
今後の記事作成の参考にさせていただきます。

また、他のページもよろしければご利用をお願いしておりますので、
検索機能」や記事の「 人気ランキング 」をご利用ください。

あわせて読みたい記事

人気の記事