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くらしすと年金広報

︱2018.11.15 11月号 (通巻713号) Vol.68

掲載:2018年11月15日
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年金業務運営の改善措置を継続 〜第39回社会保障審議会年金事業管理部会

 厚生労働省は2018年10月17日、第39回社会保障審議会年金事業管理部会を開催した(部会長は増田寛也・東京大学公共政策大学院客員教授)。議事は「業務運営に係る改善措置の実施状況について」及び「次期中期計画の策定に向けて」。


【業務運営に係る改善措置の実施状況について】

 2018年1月に、日本年金機構が「扶養親族等申告書」について業務委託した際に業者の入力漏れ等が発覚し、同年6月に「日本年金機構における業務委託のあり方等に関する調査委員会」から状況について報告がなされ、厚生労働省からは業務改善命令が発せられた。日本年金機構から今般、この業務改善命令に対する実施状況の報告が下記のように行われた。

〇調達・委託管理・監査ルールの見直し及び組織体制の強化
 調達に関する組織の見直しを行い、「調達企画部」を新設した。調達企画部では年金個人情報を取り扱う業務内容に応じて事業担当部署へプロジェクトチーム設置を指示し、事業担当部署は情報提供依頼(RFI)を踏まえた事業計画を策定する。RFIの結果は仕様書等に反映して調達企画部等の審査に活用する。入札方法等については入札参加資格に基づき総合評価落札方式を採用することを原則とする。重要案件についてはコンティンジェンシープラン(緊急事態における計画)を作成する。履行開始前・中・後検査を行い、各実施結果や問題点については調達企画部・事業担当部署・リスク統括部・リスク管理委員会で情報を共有する。なお、「扶養親族等申告書」については、2017年度分までは業務を分割して委託していたが、2018年度分は一体的に委託するとともに、国民年金保険料免除に係る意思確認書の受付・データ化業務を合わせて委託する。

〇インハウス型委託の推進
 個人情報漏洩防止の観点から、年金個人情報を取り扱う業務(「届書の処理」「データ入力」「年金相談」の3区分の業務)は、外部委託する場合でも、可能な限り日本年金機構が業務を行う場所を提供する「インハウス型委託」を行うこととしている。2018年8月時点でこの3区分の業務の履行場所が機構外となっていた33件については、「届書の処理」は2019年3月までに、「データ入力」は2018年10月までに、「年金相談」は2019年5月・10月にインハウス型委託へ移行する。

〇IT化、システム化の推進
 事務処理誤り等を削減するために、IT化・システム化を図る。そのために届出等の電子化の促進、最新のIT技術の活用、機構内情報の活用によるデータ入力項目の削減、事務処理のシステム化を行う。

〇人材の育成、本部組織のリスク管理の見直し及び役職員の意識改革
 「調達や外部委託の実務に精通し継続的に携わる人材が組織的に育成されていなかったことが、今回の事案の原因である」といった提言を踏まえて、高い専門性が求められる分野では、長期の実務経験を積み、制度と実務双方に精通した専門性の高い職員を育成する。また、本部業務のリスク管理のあり方の見直しを検討していく。

【次期中期計画の策定に向けて】

 次の8項目についてそれぞれ、次期中期計画に向けた課題が出された。

〇国民年金の適用・収納対策
 適用については、未加入者対策として20歳・34歳・44歳・54歳に到達した人で被保険者種別変更の届出等がない人には、その人の属性も分析したうえで届出勧奨と職権適用を強化していく。また、今後増加が見込まれる外国人の適用をどうするか、無年金・低年金者対策としては任意加入制度の周知や年金額見込のお知らせ等を含めてどのように行っていくか、市区町村やハローワークとどのように連携すれば効果的か、が課題となる。保険料収納対策については、納付率の目標や方策を被保険者別の特徴に着目したきめ細かいものとしていくこと、インターネットからの口座振替の実現やクレジットカード納付の促進、前納制度の有利性広報など利便性の向上を図ること、キャッシュレス化など新たな納付方法に対する対応を検討すること、納付督励の強化、追納制度の勧奨対策、徴収業務を担う職員の育成が課題に挙げられた。

〇厚生年金保険・健康保険等の適用・徴収対策
 適用については、未適用の可能性がある事業所の減少と悪質な事業所対策の構築、未適用従業員の届出漏れを防止するために実効ある事業所調査方法の確立、都市部における効率的な事業所調査の実施、既存のシステムの見直しと活用、外国人の適用対策が挙げられた。保険料の徴収対策については、口座振替実施率83%程度を維持すること、分割納付を行う滞納事業所には納付計画の提出を徹底し計画不履行となった事業所には法令に基づく厳正な処分を実施すること、悪質な事業所に対しては国税庁に滞納処分の権限を委任することが挙げられた。

〇年金給付
 中央年金センターのあり方、本部内の各部の役割、市区町村との連携など年金給付全体の執行体制の構築を見据え、年金業務の中核としての中央年金センターの機能の見直し、年金給付の正確性の確保、障害年金認定業務の標準化の推進、職員の育成が挙げられた。また、より一層迅速な年金給付を実現するために年金給付を行う執行体制の変化(事務センターから年金事務所への審査業務の移管、障害年金の認定事務の障害年金センターへの一元化など)に応じたサービススタンダードの見直しが求められている。

〇年金記録の正確な管理と年金記録問題の再発防止のための対応
 未統合(未解明)記録の更なる解消、裁定請求時の確実な年金記録の確認、「ねんきんネット」の普及促進が挙げられた。

〇事務処理の正確性の確保
 事務処理誤りの早期発見・対処、本部業務部門のリスクの把握、外部委託に関するルールの徹底が挙げられた。

〇年金相談・お客様サービスの向上
 年金事務所では、事務所の適正配置と役割の明確化、相談体制の充実が挙げられた。年金相談センターでは、利用状況の変化に伴う既設相談センターの再配置、相談員の更なる質向上が挙げられた。コールセンターでは、オペレータの生産性及び質の向上、年金事務所等の電話相談内容の整理、照会件数の平準化が挙げられた。

〇ICT化の推進
 電子申請の推進、マイナポータルとの連携、中小規模の事業所のインターネットによる届出等に対応する「事業所版ねんきんネット(仮称)」の導入が挙げられた。「ねんきんネット」については、訴求力や利便性を高めてユーザID発行件数を増やし、利用頻度が増えるようにする。また、新たな年金記録問題の予防対策となるような「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」の活用を検討する。「ねんきん定期便」は費用の合理化の観点からも電子化を進めていく。
 マイナンバーについては、基礎年金番号との紐付けを徹底し管理方法や管理項目の拡大を検討し、被保険者や受給者等の利便性向上のための活用を検討する。

〇制度改正(図2)への対応
 年金生活者支援給付金の請求事務フローの確立、新しい制度・事務に対応できる効率的で正確なシステムの構築、市区町村との所得情報の連携事務の円滑な実施、相談・事務処理体制の整備が挙げられた。さらに、次期年金制度改正の円滑かつ着実な施行、実施を図るための取組みが必要とされた。

図版見出し図2 年金制度改正の経緯

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