年金受給サバイバル②「ねんきん博士」と考える
ライフスタイル別、効果的な年金のもらい方
2自営業の人は、現役のうちにじっくり考えて
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Cさんのケース |
厳しい経営状態。でも繰上げ受給はよく考えてから |
Cさん |
やあ博士! おや? きょうは来客が多いね。 |
博 士 |
やあCさん! |
Cさん |
最近、どうも経営状態が思わしくなくてね。学校を卒業してから商売一筋でやってきたけれど、もう63歳になったし、これを機に廃業しようかと思って。3つ年下(60歳)の妻も「もう十分やったから、やめていいんじゃない?」と言ってくれているんだ。うちには子どもがいないから、これ以上商売を続けたって継ぐ者もいないしね。 |
博 士 |
おでも、商売をやめたとして、生計はどう立てるんだい? もしかして貯金がたくさんあるとか? |
Cさん |
貯金はむしろ切り崩している状況さ。だからこの先不安でね。頼みになるとしたら、これから入る年金だけど、いくらもらえるかがとても気になるんだ。うちは夫婦2人とも国民年金だから、たくさんはもらえないだろうし……。 |
博 士 |
それじゃあ、Cさん夫婦の受け取る年金額を、ちょっと計算してみようか。 |
<夫婦2人がもらえる予定の年金額(年間)>
○Cさん: |
65歳から老齢基礎年金 = 70万円 |
○妻 : |
65歳から老齢基礎年金 = 50万円 |
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最終的にもらえる年金の合計額(Cさん68歳・妻65歳時)= 120万円 |
博 士 |
これによると、Cさん夫婦が予定通り65歳から年金をもらい始めた場合、Cさんが68歳・奥さんが65歳時から年間120万円の年金がもらえることになる。 |
Cさん |
ということは、私がいま63歳時点で廃業したとして、私の分の70万円が入るまでには2年、妻の分と合わせて120万円が入るまでには5年待たなければいけないということだね。もっと早く、いますぐにでも年金をもらい始めたいんだけど……。 |
「繰上げ受給」なら60歳から受給可
ただし毎月の受取額は減り、障害年金は出ない
博 士 |
それなら、受給開始を65歳より前に早める「繰上げ受給」を選んではどうだい? そうすれば60〜64歳から年金を受け取れる。ただし、繰上げ受給を選ぶと、毎月の受取額は減ることになるけれど。 |
Cさん |
いったい、どれくらい減るんだい? |
博 士 |
繰上げ受給をすると、毎月の年金額は受給開始年齢に応じて減額(0.5%×繰り上げ請求月から65歳になる日の前月までの月数)される。そして、減額された年金額は一生変わらない。また、もう一つ気を付けなければいけないのは、障害基礎年金は受けられなくなるということだ。 |
Cさん |
繰上げ受給にはそうしたデメリットもあるというわけか……。でも、デメリットを考慮したうえでも、うちの場合はすぐに年金をもらい始めたい。 |
博 士 |
Cさんのその気持ちはわかるよ。 |
Cさん |
ほかに気を付けることはあるかい? |
博 士 |
そうだなぁ。国民年金の場合、夫婦2人の分を合わせても年間120万円と少ない。これがもし、夫婦のどちらかが先に亡くなった場合、受け取る年金は半分近く減り、残された人の生活はさらに厳しくなる。高校生までの子どももいないから遺族年金もないしね。だから、夫婦ともに元気で長生きするということが大切だと思うよ。 |
Cさん |
そうだね! 夫婦2人で健康に気を付けて、自分たちのできる範囲で工夫もしながら、充実した年金生活を送ろうと思うよ。 |
博 士 |
年金というと、とにかく「いくらもらえるか」ということばかり考えがちだよね。でも肝心なのは「どうもらうか」ということ。自分のライフプランに合わせて、いつから、どんな形で年金をもらうか、じっくり考えてみましょう。 |
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