共済情報連携システムが必ずしもうまく機能しているとはいえない状態が続いているようです。共済組合の決定した年金額が、なかなか年金事務所から提供されません。市役所(共済組合)と民間の事業所に勤務したことのある人にとっては、両方の年金見込額がわからないと、在職中の年金支給停止額の試算ができません。
そうしたなかで、年金事務所から提供してもらった共済組合の年金見込額のサンプル(テンプレートのようなもの)がありますので、情報提供いたします。共済組合の決定した年金見込額が、年金事務所から提供されるときのテンプレートのようなものと思ってください。
年金事務所で発行される共済組合の決定した年金額のテンプレート
〜共済組合の年金見込額は、年金事務所からこんなテンプレートで表示される〜
(1)相談者の基本情報・サンプルデータ
まずは、相談者の基本情報・年金加入歴を紹介しておきましょう。そのあとで、実際のサンプル(テンプレートのイメージ図)を見ていただきましょう。
【相談者の基本情報】
氏名:年金太郎(ネンキンタロウ)
生年月日:昭和29年10月29日
性別:男性
年金加入歴:
大学卒業後、地方公務員として37年間勤務。平成27年3月31日に定年退職後、
平成27年4月より民間企業に就職(第1号厚生年金被保険者)。
標準報酬月額36万円(ずっと変わらない)、賞与はなし。
一元化後の平成27年10月28日に61歳となり、年金の受給権が発生。
年金額:
特別支給の老齢厚生年金 1,257,355円(年金コード:1130)
特別支給の退職共済年金 251,471円(年金コード:1170)
相談内容:
受給権発生当時は、年金額は全額支給停止だったが、地方公務員時代の
平成26年12月に支給された期末勤勉手当の影響がなくなり、一部支給になると思うが、何月分から支給になりますか、という相談がある。
【状況設定】
相談を受けた受任者は、平成28年5月13日に、年金事務所に年金相談に訪れ、午後4時過ぎに年金見込額をプリントアウトしてもらう。
【図表1】【図表2】がそのサンプル資料(あくまでも、テンプレートのイメージ図)です。
(2)年金太郎さんの年金額のテンプレート・サンプル(イメージ図)
:年金コード1130
年金事務所で、プリントアウトしていただいた「特別支給の老齢厚生年金」が、【図表1】です(あくまでもテンプレートのイメージ図です)。
【図表1】の「■年金額情報」欄をみると、「基本年金額 1,257,355円」「停止額 1,104,401円」と印字されており、これは、事前に共済組合で確認していた年金太郎さんの年金額および支給停止額の金額と一致していました。
また、【図表1】には「基本年金額 1,257,355円」と「支給停止額 1,104,401円」の記載があり、全額支給停止ではないことが、この画面からも確認できます。ただし、実際にいくら支給されるのか、支給される年金額の記載はなく、自分で差引計算をしないと支給額はわからない表示画面になっていました。
参考までに、年金太郎さんに共済組合から支給される特別支給の老齢厚生年金(年金コード:1130)は、〈「基本年金額 1,257,355円」-「支給停止額 1,104,401円」〉で、支給される年金額は、「支給額 152,954円」ということになります。
【図表1】特別支給の老齢厚生年金(1130)
(3)年金太郎さんの年金額のテンプレート・サンプル(イメージ図)
:年金コード1170
年金事務所では、「特別支給の退職共済年金(経過的職域加算額)」の見込額も、プリントアウトしてもらいました。【図表2】です(あくまでもテンプレートのイメージ図です)。
【図表2】の「■年金額情報」欄の「基本年金額」は「251,471円」と印字されており、この年金額も、事前に共済組合で確認していた年金太郎さんの金額と一致していました。
また、年金太郎さんは、第1号厚生年金被保険者として在職中ですが、旧3階部分である旧職域年金相当部分(経過的職域加算額のこと)は、支給停止の対象ではありませんので、全額支給されます。
【図表2】の「■年金額情報」欄の「停止額」は「0円」と表示されています。これも正しく表示されています。
なお、共済年金の基本的な知識・一元化前の共済年金の名称などについては、長沼明著『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識』(日本法令)をご参照ください。
【図表2】特別支給の退職共済年金(1170)