3社会保障協定における加入期間の通算について

資格期間は2つの制度を合わせることができる

 日本では、年金を受給するために、一定の期間、制度に加入していることが求められます(老齢基礎年金・老齢厚生年金は10年)。日本の制度の加入期間だけで要件を満たせないときは、社会保障協定を結んだ国であれば、派遣先の国の制度に加入していた期間も合わせて算入することができます(ただし、年金額には反映されません)。これも、社会保障協定のメリットです。

 図表4の場合、日本の制度の加入期間(3年)だけでは老齢基礎年金・老齢厚生年金を受給することはできませんが、派遣先の制度に加入していた期間(6年+2年=8年)を合わせれば11年になり、年金を受けることができるようになります(ただし、年金額は日本の3年間の加入分のみ)。

図表4 加入期間の通算

加入期間の通算

 では、社会保障協定がまだ締結されていない時期に、両国の制度に二重加入していた期間があるときはどのように計算するのでしょう。この場合、例えば図表5のように両国の制度に加入していた期間は、そのまま1年とみなし、考慮されません。このケースでは加入期間は9年で、残念ながら、老齢基礎年金・老齢厚生年金を受けることはできません。

図表5 加入期間の通算2

加入期間の通算2

 これらの通算は、派遣先の年金制度についても行われます。派遣先の国でも年金を受給するための最低期間が定められていれば、同様に、日本の制度の加入期間を派遣先の国の加入期間として算入することができます。この結果、資格期間を満たすことができれば、派遣先の国の年金を受給することができます。

 なお、年金額は、ぞれぞれの国の加入期間に応じた割合の年金を、それぞれの国から受け取ることになります。年金を請求する手続きは、日本に住んでいるときは日本の年金事務所などで、また、派遣先の国に住んでいるときはその国の実施機関の窓口で行います。

 経済の国際化とともに、日本の企業から海外に派遣されて働く人も増えました。このような動きに合わせて、公的年金制度も国際化されています。海外で働くことが決まった皆さん、これから赴任する国は、社会保障協定が結ばれているでしょうか。

この記事はお役に立ちましたか?

ご評価いただきありがとうございます。
今後の記事作成の参考にさせていただきます。

また、他のページもよろしければご利用をお願いしておりますので、
検索機能」や記事の「 人気ランキング 」をご利用ください。

あわせて読みたい記事

人気の記事