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掲載:2020年11月13日

“目で見る”年金講座【第23回】
収入が多いと障害基礎年金はもらえない?

障害年金に該当する障害をもっていても、収入によって、障害年金はもらえなかったり減額されたりするのか──そんな質問をいただきました。たしかに、障害年金には原則として所得制限がありませんが、20歳前の傷病を原因としている場合には、所得制限によって障害基礎年金の支給が停止されるケースがあります。今回は、20歳前の傷病による障害基礎年金について解説します。

くらしすとEYE【第23回】20歳前の傷病による障害の場合、20歳から障害基礎年金が支給120歳前の傷病による障害の場合、20歳から障害基礎年金が支給

障害基礎年金を受給するための3つの要件

 障害基礎年金の所得制限について解説する前に、あらためて障害年金の支給のかたちをおさらいしておきましょう。(第13回『もらい忘れ(請求漏れ)が多い障害年金』参照
 病気やケガが原因で障害をもってしまったとき、その病気・ケガの初診日に国民年金に加入していた人は、その障害の程度に応じて1級または2級の障害基礎年金がもらえます。
 また、初診日に厚生年金に加入していた人であれば、1級・2級の障害基礎年金に上乗せして1級・2級の障害厚生年金がもらえます。障害の程度が1級・2級より軽い場合には、厚生年金独自の支給として3級の障害厚生年金または障害手当金(一時金)がもらえます。

【図表1】障害基礎年金と障害厚生年金の上乗せ

くらしすとEYE【図表1】障害基礎年金と障害厚生年金の上乗せ(国民年金・障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金・1級障害・2級障害・3級障害・3級より軽い障害)

障害年金を受給するためには、次の3つの要件をすべて満たしていることが必要です。

(1)初診日要件
(2)保険料納付要件
(3)障害認定日要件

障害基礎年金・障害厚生年金の受給要件を整理すると、次のとおりとなります。

【図表2】障害基礎年金の受給要件

初診日要件 次のいずれかの期間に初診日(⇒下記の用語解説)があること
①国民年金に加入している期間
②国民年金への加入を終えた60歳以上65歳未満の期間(国内在住者に限る)
③国民年金に加入する前の20歳未満の期間
保険料納付要件 保険料納付要件(⇒下記の用語解説)を満たしていること
障害認定日要件 障害の状態が、障害認定日(⇒下記の用語解説)または20歳に達したときに、「障害等級表」で定められた1級または2級に該当していること

※老齢基礎年金の「繰上げ受給(請求を含む)」をしている場合は、65歳未満でも障害基礎年金は受給できません。

【図表3】障害厚生年金の受給要件

初診日要件 厚生年金に加入している期間に初診日(⇒下記の用語解説)があること
保険料納付要件 保険料納付要件(⇒下記の用語解説)を満たしていること
障害認定日要件 障害の状態が、障害認定日(⇒下記の用語解説)に「障害等級表」で定められた1級から3級のいずれかに該当していること

【用語解説】

初診日
障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日。同一の病気やケガで転医があった場合は、最初の診療を受けた日が初診日となる。

保険料納付要件
初診日の前日までに次のいずれかの要件を満たしていること。
●初診日のある月の前々月までの加入期間のうち、全体の3分の2以上保険料を納付していること(保険料納付を免除された期間や学生納付特例の期間などを含みます)。
●初診日に65歳未満で、初診日のある前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
(ただし、初診日が2026年4月1日前にあること)

障害認定日
障害の状態を定める日のこと。
●初診日から1年6ヵ月を過ぎた日
●初診日から1年6ヵ月以内に治った(症状が固定した)場合はその日

◇障害認定日に軽い障害がその後重くなったとき
障害認定日に「障害等級表」で定める障害の状態になかった人が、その後65歳になるまでの間にその障害が悪化し、「障害等級表」で定める障害の状態になったときは、本人の請求により、請求日の翌月から障害年金を受け取ることができる。

20歳前の傷病による障害基礎年金の支給は20歳に達してから

 国民年金に加入するのは原則20歳からです。それでは、国民年金に加入する20歳に達する前に初診日がある場合には障害基礎年金の受給要件から外れているのかというと、図表2の「初診日要件」に「③国民年金に加入する前の20歳未満の期間」とあるとおり、受給要件に該当しています(図表1の「①初診日に国民年金のみに加入していた人」に該当)。

 なお、厚生年金の加入には下限年齢がなく、会社等に入社した時点からの加入となります(国民年金の第2号被保険者となります)。つまり、20歳前でも高校卒業後すぐに就職すれば18歳、中学卒業後すぐに就職すれば15歳で加入することになり、加入後に初診日がある場合は、障害基礎年金および障害厚生年金の受給要件に該当します(図表1の「②初診日に厚生年金に加入していた人」に該当)。

 20歳に達する前に初診日がある病気やケガで障害をもった場合は、20歳に達したとき(障害認定日が20歳以後の場合は、その障害認定日)に、障害の程度が2級以上に該当していれば、障害基礎年金をもらうことができます。
 20歳に達したとき(または障害認定日)に障害の程度が2級以上に該当していなくても、その後、65歳に達するまでに該当するようになれば、本人の請求により障害基礎年金をもらうことができます。

【図表4】20歳前の傷病による障害基礎年金の支給開始

くらしすとEYE【事例4】20歳前の傷病による障害基礎年金の支給開始
point

1.障害年金は、初診日要件・保険料納付要件・障害認定日要件の3つの要件を満たしているときに支給される

2.20歳に達する前に初診日がある病気やケガで障害をもった場合は、20歳に達したとき(障害認定日が20歳以後の場合は、その障害認定日)に、障害の程度が2級以上に該当していれば、障害基礎年金が支給される

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