一元化がスタートし、1か月あまりが経過しました。
現場での戸惑いは続きますが、今月は基本に立ち返り、ワンストップサービスの対象となる届書、ならない届書を整理し直しました。
あわせて、最後のコメント欄で、現場では、いま、どのような手続処理で疑問を生じているのか、この手続はどうすればいいのかという質問をお寄せいただければと考えております。質問はなるべく具体的に記述していただき、法律上の解釈についてのお問い合わせは、ご遠慮ください。
回答はすべてホームページ上からとさせていただきます。なお、すべての質問に回答することはできませんが、紙面づくりの参考にさせていただきます。
同時に提出しなければならない届書
〜離婚分割の標準報酬の改定請求書・老齢厚生年金の繰り上げなど〜
(1)老齢厚生年金の繰上げ請求・離婚分割に関する標準報酬改定請求書
ワンストップサービスの「対象となる届書」と「対象とならない届書」と、区分けの概念が異なる届書の種類がありますので、整理しておきましょう。
「同時に提出」しなければならない届書です。
たとえば、二以上の種別の厚生年金期間を有する者の老齢厚生年金の繰上げ請求については、それぞれの実施機関の老齢厚生年金について、同時に行わなければなりません。1号厚年期間に基づく厚生年金は繰り上げるが、3号厚年期間に基づく厚生年金(共済年金)は繰り上げない、ということはできません。
なお、この場合の繰上げ請求書は、いずれの実施機関にも提出することができます。つまり、ワンストップサービスの対象となります。
また、離婚分割に関し、二以上の種別の厚生年金期間を有する者の標準報酬の改定請求についても、他の種別の期間に係る改定請求と同時に行わなければならないことになりました。
(2)老齢厚生年金の繰下げ請求書
「公務員の加入期間が30年と民間企業の加入期間が5年」という受給権者の場合、一元化前は、加給年金額の加算された退職共済年金は65歳から受給し、加入期間が5年と短い老齢厚生年金は、65歳から受給せずに、受給額を増やすために70歳から繰り下げて受給する、ということが可能でした。
しかしながら、一元化後は、このような受給の仕方はできません。同時に請求しなければなりません。
したがって、このような事例では、繰り下げ受給をしようとして待機していた老齢厚生年金の受給権者は、原則として、一元化の施行日の前日、つまり、平成27年9月30日に請求があったものとみなす、という取り扱いをされることとなりました。
このため、繰り下げ請求書等の提出が必要になることから、各実施機関では、必要な案内および勧奨等を行うことになっています。
同時に提出しなければならない届書の主なものは、次のとおりです。基本的に、ワンストップサービスの対象になります。
同時に提出しなければならない主な届書
- 2つ以上の種別の老齢厚生年金を有する者の、離婚分割に関する標準報酬改定請求書
- 2つ以上ある老齢厚生年金の繰り上げ
- 2つ以上ある老齢厚生年金の繰り下げ
- 年金請求書に付随する扶養親族等申告書は、実施機関ごとにそれぞれ提出する。