2年金の受給権が消滅する事由

受給権は一度消滅すると、再び発生することはない

 国民年金および厚生年金保険において、受給権者が死亡したときなどのほか、次の事由が発生したときに、年金を受けられる権利(受給権)が消滅します。受給権は、一度消滅すると、同じ事由による年金を再び受けられるようになることはありません。

年金の種類 受給権が消滅する事由
すべての年金
に共通

死亡したとき➡1

特別支給の
老齢厚生年金

65歳に達したとき
(老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられる)

障害基礎年金
障害厚生年金

(1) 障害等級表に定める3級の障害の状態でなくなったまま65歳に達したとき(65歳に達した日に3級の障害の状態でなくなってから3年が経過していないときは3年が経過したとき)

(2) 新たな障害基礎年金・障害厚生年金を受けられるとき➡2

遺族基礎年金
遺族厚生年金

(1) 婚姻したとき➡3

(2) 養子となったとき➡4

(3) 離縁により死亡した人との親族関係がなくなったとき➡5

(4) 配偶者が受給権者の場合、すべての子が次のいずれかに該当したとき (遺族基礎年金のみ受給権消滅)

① 死亡したとき

② 婚姻したとき(事実婚を含む)

③ 配偶者以外の養子となったとき(事実上の養子を含む)

④ 離縁によって、死亡した人の子で亡くなったとき

⑤ 配偶者と生計を同じくしなくなったとき

⑥ 18歳到達年度の末日が終了したとき(1級または2級の障害の状態にあるときを除く)➡6

⑦ 18歳到達年度の末日終了後、1級または2級の障害に該当しなくなったとき

⑧ 20歳に達したとき

(5) 受給権者が子または孫の場合は、次のいずれかに該当したとき

① 18歳到達年度の末日が終了したとき(1級または2級の障害の状態にあるときを除く)➡6

② 18歳到達年度の末日終了後、1級または2級の障害に該当しなくなったとき

③ 20歳に達したとき

遺族厚生年金

(6) 受給権者が、父母、孫または祖父母の場合は、被保険者等の死亡の当時、胎児だった子が生まれたとき

(7) 被保険者等が死亡した日が平成8年4月1日前で、受給権者が1級または2級の障害の状態にある55歳未満の夫、父母または祖父母の場合は、その状態がやんだとき

寡婦年金

(1) 65歳に達したとき

(2) 婚姻したとき

(3) 養子となったとき

1.死亡したとき

 老齢基礎年金、老齢厚生年金、障害厚生年金を受けている人が死亡したとき、その人によって生計を維持されていた遺族がいる場合は、遺族基礎年金・遺族厚生年金を受けられることがあります。
 また、死亡するまでに受けるはずの年金が残っているときは、一定の遺族が未支給年金を受けられることがあります。(第12回『もらえるはずの年金ともらい過ぎた年金』参照)

2.新たな障害基礎年金・障害厚生年金を受けられるとき

 1級または2級の障害基礎年金、障害厚生年金を受けている人が、その後、別の傷病で障害が残り、それだけで1級または2級の障害基礎年金・障害厚生年金の受給要件を満たしている場合は、2つの年金の支給は行われず、後の障害の障害認定日に前後の障害をあわせた程度の障害によって障害等級が定められ(併合認定)、新たな障害基礎年金・障害厚生年金が支給されることになります。新たな障害基礎年金・障害厚生年金を受けることになると、前の障害基礎年金・障害厚生年金の受給権は消滅します。(第25回『2つ以上の年金が受けられるようになったら?』第26回『障害年金、こんな場合はどうなる?』参照)

3.婚姻したとき

 婚姻には、法律上の婚姻のほか、事実上の婚姻(内縁)も含まれます。
 なお、一度婚姻した後に離婚したとしても、再び遺族基礎年金・遺族厚生年金を受けることはできません。

4.養子となったとき

 ここで養子とは、直系血族や直系姻族以外の人の養子となったときをいいます。
 なお、死亡した人の配偶者と子に遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給権があるが、配偶者が再婚し、子が再婚した妻(または夫)の夫(または妻)の養子となったとしても、子は直系姻族の養子となるので、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給権は消滅しません。
 つまり、配偶者の受給権が消滅しますので、子がその後、遺族基礎年金・遺族厚生年金を受けられます。ただし、生計を同じくする父または母があるときは、遺族基礎年金はその間、支給停止となります。

5.離縁したとき

 この離縁とは、親族関係を解消することをいいます。なお、遺族基礎年金・遺族厚生年金を受けている妻が、実家に帰り姓が婚姻前のものとなっても受給権が消滅することはありません。  

6.18歳到達年度の末日が終了したとき

 18歳に達する年度の3月の末日に消滅することになります。なお、障害等級の1級または2級の障害の状態であれば、20歳に達する(20歳の誕生日の前日)まで受給権は消滅しません。

point

1.国民年金および厚生年金保険において、受給権者が死亡したときなどに、年金を受けられる権利(受給権)が消滅する

2.一度消滅した受給権が、再び発生することはない

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