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掲載:2021年7月15日

“目で見る”年金講座【第31回】
配偶者が亡くなったときの遺族年金

家計を支える配偶者が亡くなったときに残された配偶者が受け取る遺族年金の仕組みには、受給権が発生したとき(家計の支え手が亡くなったとき)の受給権者の年齢によって受給できる期間が異なるなど、少し複雑なところがあります。今回は、遺族年金の基本的なパターンである、配偶者が受け取る遺族年金に絞って、その枠組みを整理して解説します。

くらしすとEYE【第31回】まずは亡くなった人の国民年金の加入状況により大別される1まずは亡くなった人の国民年金の加入状況により大別される

亡くなった人に生計を維持されていた配偶者が受け取れる

 遺族年金については、第10回『遺族年金、もらえる人ともらえる額は?』で基本的な仕組みを解説していますが、遺族年金に関して寄せられるご質問は配偶者の方からのものが多いことから、配偶者が受け取れる遺族年金について、国民年金の被保険者の種類別に整理してみました。

【図表1】配偶者が受け取れる遺族年金

【図表1】配偶者が受け取れる遺族年金

※寡婦年金・死亡一時金については、第6回『年金の繰上げ受給は慎重に』を参照してください。

 配偶者に支給される遺族年金の大枠は図表1のとおりですが、表の中で「支給される」としているところについては、受給のための前提や条件を満たしている必要があります。

 まず、大前提として、「亡くなった人」について、図表2のとおり、国民年金や厚生年金保険の被保険者等であったことが条件となります。特に、国民年金のみに加入していた人については、保険料の納付要件を満たしていることがポイントとなります。

【図表2】遺族年金が支給される「亡くなった人」の条件

  亡くなった人
A.遺族基礎年金の支給要件

①国民年金の被保険者である間に死亡したとき(※1)

②国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に 住所を有していた方が死亡したとき(※1)

③老齢基礎年金の受給権者であった人(※2)が死亡したとき

④老齢基礎年金の受給資格期間を満たした人(※2)が死亡したとき

B.遺族厚生年金の支給要件

①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき(※1)

②厚生年金保険の被保険者期間に初診日のある病気やケガが原因で、 初診日から5年以内に死亡したとき(※1)

③1級・2級の障害厚生年金をもらっている人が死亡したとき

④老齢厚生年金の受給権者であった人(※2)が死亡したとき

⑤老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人(※2)が死亡したとき

※1:死亡日の前日において、死亡日のある月の前々月までの国民年金に加入しなければならない期間のうち、保険料を納めた期間(納付を免除された期間を含む)が3分の2以上あること。または、直近の(死亡日のある月の前々月までの)1年間に保険料の未納期間がないこと(ただし、65歳未満であること)。

※2:保険料を納めた期間・免除された期間が25年以上あること。

 また、遺族年金を受け取るには、亡くなった人に生計を維持されていたことが条件となります。「生計を維持されている」(生計維持関係)とは、「生計を同じくしていること」(生計同一要件) と「収入が一定未満であること」(収入要件)の両方を満たす場合に認められます。

【図表3】生計維持関係

● 生計同一要件

住民票上、同一世帯である場合

住民票上、世帯は別であるが住所が同一である場合

住所が住民票上異なっているが、現に起居を共にし家計を一にしている場合

単身赴任や就学などにより住所が住民票上異なっているが、経済的な援助や定期的な音信・訪問が行われている場合

● 収入要件

前年の収入が850万円未満、もしくは前年の所得が655.5万円未満である場合

定年退職等により近い将来(概ね5年以内)、収入または所得が上記に該当することが見込まれる場合

専業主婦(夫)が亡くなった場合でも遺族基礎年金は受け取れる

 次項で解説しますが、遺族厚生年金は、夫と妻で受給の扱いが異なっています。しかし、遺族基礎年金については、夫と妻の扱いに違いはありません。(※ただし平成26年4月1日前に死亡日がある場合は、老齢基礎年金を受け取れる配偶者は妻のみとされます。)
 したがって、「子」のある夫は、亡くなった妻と生計維持関係があれば、遺族基礎年金を受け取ることができます
 これは、亡くなった人が専業主婦(夫)(=第3号被保険者)であった場合も同様です。第3号被保険者は、自分で国民年金保険料を納付していませんが、国民年金の被保険者ですから、図表2のAの①に該当しますので、残された配偶者が厚生年金保険に加入する第2号被保険者であっても、「子」がいて、亡くなった配偶者と生計維持関係があれば、遺族基礎年金を受け取ることができるのです。
 なお、これまでも何度も触れてきましたが、「子」とは、18歳の到達年度の末日までにある子、または、20歳未満で1級・2級の障害のある子が該当します。

point

1.家計の支え手が亡くなったとき、亡くなった人に生計を維持されていた配偶者には、亡くなった人の国民年金の加入状況や残された配偶者の条件が該当すれば、遺族基礎年金あるいは遺族厚生年金、またはその両方が支給される

2.妻が亡くなった場合でも、その妻が専業主婦であった場合でも、条件に該当すれば、残された夫に老齢基礎年金が支給される

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