





在職老齢年金も繰上げ受給・繰下げ受給の両方ができます。ただし、特別支給の老齢厚生年金については繰下げ受給ができません。また、給与(総報酬月額相当額)との関係で支給停止の調整を行った後の年金額が減額分・増額分の計算対象となります。ですから繰上げ・繰下げ受給の効果がなかったり、生活設計に誤算が生じてしまうこともありますから、十分な注意が必要です。
特別支給の老齢厚生年金(在職)の場合
【繰上げ受給】
就労しながら老齢年金を繰り上げると、老齢基礎年金には影響がありませんが、老齢厚生年金の本来の年金額は繰上げ受給で減額され、さらにその年金額に対して在職による支給調整が行われます。
〈例〉1962(昭和37)年4月2日生まれの女性の場合

※年金制度改正法により、2022(令和4)年4月以降は1962年4月2日以降生まれに人を対象に繰上げ1ヵ月あたりの減額率が0.4%に緩和されました。1962年4月1日以前生まれの人は0.5%のまま、上記の支給率は「繰上げによる減額分」は18.0%に、「繰上げの老齢基礎年金」は70.0%となります。
【繰下げ受給】
特別支給の老齢厚生年金は繰り下げできません。
〈例〉1957(昭和32)年4月2日生まれの男性の場合

65歳以上の老齢厚生年金(在職)の場合
【繰上げ受給】
就労しながら老齢年金を繰り上げると、老齢基礎年金は影響がありませんが、老齢厚生年金の本来の年金額は繰上げ受給で減額され、さらにその年金額に対して在職による支給調整が行われます。
〈例〉1965(昭和40)年4月2日生まれの男性の場合

【繰下げ受給】
繰上げ受給による減額された年金額に就労による支給調整が行われます。
〈例〉1965(昭和40)年4月2日生まれの男性の場合

就労しながら繰上げ受給を行うと、在職により支給調整された年金額(報酬比例部分)が繰上げの減額の対象となります。支給停止分がない人は影響を受けませんが、支給停止分がある人はご注意ください。

〈例〉Aさん(会社員・56歳・男性)の場合
Aさんは1965(昭和40)年4月2日生まれで65歳から老齢年金を受け取れる。Aさんの会社は65歳以降も給料月額40万円(総報酬月額相当額)で就労可能。69歳までは同じ賃金条件で就労できるため、70歳まで年金の受給を引き下げる予定。
老齢基礎年金は満額(780,900円)、老齢厚生年金を1,500,000円(基本月額12.5万円)とする。
誤り 70歳までは40万円で就労すると、支給停止分は〔(12.5万円+40万円−47万円)×0.5〕=2.75万円となり、在職老齢年金は9.75万円となる。退職して70歳からは42%増額の老齢厚生年金を受け取れるので老齢基礎年金は1,108,878円、老齢厚生年金は2,130,000円〔(12.5万円+12.5万円×42%)×12月〕になる。 | |
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正解 70歳までは40万円で就労すると、支給停止分は〔(12.5万円+40万円−47万円)×0.5〕=2.75万円となり、在職老齢年金は9.75万円となる。70歳まで繰下げるとこの額の42%分40,950円(月額)が増額されます。つまり、退職歳からは42%増額の老齢厚生年金を受け取れるので老齢基礎年金は1,108,878円、老齢厚生年金は1,991,400円〔(12.5万円+9.75万円×42%)×12月〕になる。 |
※2022(令和4)年4月以降に70歳を迎える人から、繰下げ受給による年金開始時期の選択肢が75歳までに拡大されます。
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