障害年金について学ぶ3回目、いよいよ気になるお金の話です。
障害年金の対象者になると、いくら受給できるのでしょうか。

受給を検討している方にとって、一番気になるテーマだと思います。
受給額を知ることで、ご自身の生活設計ができます。
また、健常者で障害年金に縁が無い方にとっても、ご自身や周りの方がいつ障害者になるかわかりません。
「いつ障害者になるのか。そんな怖いこと言わないで」と思われるかもしれませんが、社会常識の一つとして、知っておいて損はないと思います。
現在のために、そして将来のために、その障害年金額の仕組みについて、ぜひ学んでいきましょう。
なお、こちらで記載していることは、すべて「障害年金は、どのような方が受け取れるのか」で解説した受給要件をクリアしていることを前提としています。こちらも合わせてご参照ください。

障害基礎年金は受け取れる金額が決まっている

まずは、障害年金の1階部分、つまり障害年金受給者であれば基本的に誰でも受け取れる(障害厚生年金の3級の者を除く)のが障害基礎年金です。

こちらはとてもシンプルに、決定された等級に基づいて金額が決まります。
年齢や保険料の納付月数は、受給要件を満たしている限り年金額に影響しません。
2級 777,800円/年
1級 972,250円/年
です(2022(令和4)年度)。
まずはこちらが基準となる額であるとご認識ください。

正確には、基準となる金額「780,900円」に改定率(※1:令和4年度は0.996)と呼ばれる料率を掛けることで、2級の金額が決まります。(※1「改定率」は再評価率ともいいます。)
なお、1級は2級の1.25倍(※2)です。
(※2:972,250円=777,800円×1.25)

【一口メモ】2023(令和5)年度 障害基礎年金の金額は?

2023(令和5)年1月に厚生労働省から「令和5年度の年金額改定」が公表されました。

令和5年度の年金額

新規裁定者(67歳以下の方) 2.2%引き上げ
既裁定年金(68歳以上の方) 1.9%引き上げ

上記の引上げをもとに計算すると令和5年度の年金額は下記のとおりです。

・新規裁定者:
0.996×1.022=1.018→780,900円×1.018=795,000円
(100円未満四捨五入)

・既裁定者:
0.996×1.019=1.015→780,900円×1.015=792,600円
(100円未満四捨五入)

上記により2023(令和5)年度の新規裁定者「障害基礎年金」の金額は下記のとおりです。

2級:795,000円/年
1級:993,750円/年
(795,000円×1.25)

さらに子を扶養している場合、子の加算という制度により増額されます。要件は障害基礎年金の受給者によって生計を維持されている子であることです。
18歳到達年度の末日、つまり、一般的には高校卒業の月の末日までの子が対象です。
ただし、子が障害等級1級または2級にある場合は、20歳未満であれば引き続き対象になります。

子の加算額は、
2人目まで1人当たり 223,800円
3人目から1人につき 74,600円

となります。(2022(令和)4年度)

なお、児童扶養手当を先に受けている場合、子の加算額が優先され、児童扶養手当が子の加算額より高い場合のみ、その差額が支給されることになります。

【一口メモ】2023(令和5)年度 児童扶養手当

物価変動に応じた改定ルールが法律で適用されているため、児童扶養手当は令和4年の物価変動率(2.5%)に基づき2.5%の引き上げとなります。(2023年1月20日付厚生労働省プレスリリースより)

●令和5年度 扶養児童手当の金額

第1子 44,140円/月 (昨年度+1,070円)
第2子 10,420円/月 (昨年度+250円)
第3子以降 6,250円/月 (昨年度+150円)

障害厚生年金は保険料を払ったとみなしてくれる

認定日時点で厚生年金保険の対象者であった場合、上記障害基礎年金にプラス(3級を除く)して、障害厚生年金を受け取ることができます。
こちらは、それまで納付した保険料に合わせて、その受給金額は変動します。

3級 報酬比例年金額(最低保証583,400円)
2級 報酬比例年金額
1級 報酬比例年金額×1.25

報酬比例年金額とは、ざっくり言えば、これまで受け取った給与に相当する額の平均値に一定の料率と加入月数をかけたものです。2003(平成15)年に制度に変更があったため、この前後で料率が変わっています。

報酬比例部分 ※1 = A + B

A:平成15年3月以前の加入期間

平成15年3月以前の加入期間

B:平成15年4月以降の加入期間

平成15年4月以降の加入期間
※1
共済組合加入期間を有する方の報酬比例部分の年金額については、各共済加入期間の平均報酬(月)額と加入期間の月数に応じた額と、その他の加入期間の平均報酬(月)額と加入期間の月数に応じた額をそれぞれ計算します
※2
平均標準報酬月額とは、平成15年3月以前の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の加入期間で割って得た額です。
※3
平均標準報酬額とは、平成15年4月以降の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割って得た額です。

※「※ 厚生労働省HP」より抜粋

もしも加入期間が300月(25年)に満たない場合は、加入期間を300月とみなして計算します。若くして障害を負った場合も不利にならないようにするためです。

また、障害厚生年金2級以上の受給者と生計を同一にしている65歳未満の事実婚を含む配偶者がいる場合は加給年金が追加で支給されます。
ただし、配偶者の前年収入が850万円未満または所得で655.5万円未満であることが条件です。
なお、その配偶者が5年以内に退職予定、あるいは経営から身を引くなどにより基準額未満になることが確実であれば、支給は認められます。

2級以上の障害厚生年金受給者は障害基礎年金の受給者でもあるので、子の加算に加えて配偶者も加算の対象になって、さらに手厚い保障が受けられるということです。
加給年金は223,800円/年です。

ただし、2022(令和4)年4月以降、制度改正により、配偶者の老齢厚生年金(原則被保険者期間20年以上)、退職共済年金(組合員期間20年以上)の受給権がある場合は、配偶者の加給年金額は支給停止されます(例外、経過措置があります)。

具体的にいくらもらえるの?

例を挙げましょう。
【例】本人:42歳 障害等級1級
配偶者40歳、18歳未満の子供2人という家族構成の方が、厚生年金加入期間が2003(平成15)年4月以降のみ120ヶ月で障害基礎年金1級の受給権者になったとします。
年収を400万円弱と想定し、平均標準報酬額は30万円とします。
これまで説明してきた数字をあてはめてみます。

【例】本人:42歳 障害等級1級

合計 2,260,263円/年額 (2022(令和4)年度で試算)

月額にすると、約188,000円を受け取ることができるようになります。
この金額が多いか少ないかはその状況にもよりますが、「この金額をいらない」と考える方は、そう多くはないでしょう。

認定日請求か事後重症かで支給額も大きく分かれる

障害年金には大きく「認定日請求」と「事後重症請求」に分かれます。
この2つの違いにより、受け取れる初回の金額が大きく変わることがあります。
※2つの違いについては、前回の解説をご参照ください。

認定日請求」の場合、その認定日から障害年金の受給権が発生します。
しかし、現実的には診断書を取得し、請求書類を整え、審査を経てから年金支給が決定します。年金支給が決定すれば、その金額は受給権が発生した認定日まで最大5年間遡り、まとめて受け取ることもできます。

一方で「事後重症請求」の場合、この遡るという考え方がありません。

先ほどの家族の例で、認定日後2年で年金支給が決定したとすると、2年分の障害年金約452万円を受給することができます。
事後重症請求にはこの仕組みがありません。この違いは大きいと言えるでしょう。

認定日請求」の場合は、障害認定日から3ヶ月以内の診断書が原則必要になります。
診断書が無い場合の救済措置はありますが、それだと確実な受給ができるかわかりませんので、障害年金の申請を検討されているのであれば、診断書やお薬手帳など受診されたことが確認できるものは必ず残しておくようにしてください。
事後重症請求」のケースは遡れないので、早目の提出を心掛けましょう。

見逃せないもう一つの給付金

障害基礎年金を受給していて、前年所得が「4,721,000円+扶養親族×38万円」以下であれば、障害年金生活者支援給付金をさらに受け取ることができます。

金額は障害等級により、
1級 6,275円/月
2級 5,020円/月
となります。

【一口メモ】2023(令和5)年度 障害年金生活者支援給付金

物価変動に応じた改定ルールが法律で適用されているため、障害年金生活者支援給付金は令和4年の物価変動率(2.5%)に基づき2.5%の引き上げとなります。(2023年1月20日付厚生労働省プレスリリースより)

●令和5年度 障害年金生活者支援給付金

 1級  6,425円/月
 2級  5,140円/月

障害年金の請求手続きをするときに合わせて行うものです。
年金の種類が多くて大変ですが、申請漏れが無いように注意しましょう。

人生を諦めないために必要なもの

日本国民は公的年金制度に加入するよう義務付けられています。
公的年金制度は、年をとったとき・障害を負ったとき・死亡したときについて、本人またはその家族への生活保障を行う社会保険です。
障害年金も社会的リスク(誰もが直面する可能性のある普遍的なリスク)をカバーすることを目的とした社会保険です。

今回の解説では、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の金額についてお話しました。
「障害基礎年金」には、その年金額にプラスして子の加算の制度があります。
「障害厚生年金」には厚生年金の加入期間が300月に満たない方には、300月のみなし期間で計算するという制度があります。そして、子の加算に加えて配偶者も加算の対象になります。
また、前回、解説しましたとおり、「認定日請求」と「事後重症請求」という仕組みもあります。
更に、児童扶養手当障害年金生活者支援給付金についてもお話しました。
社会的リスクを回避するため、様々な制度があることがわかると思います。

冒頭、お話したとおり、健常者で障害年金に縁が無い方にとっても、ご自身や周りの方がいつ障害者になるかわかりません。
障害を負うということは、人生において大きなターニングポイントになります。
人によってはそのショックで、人生でやりたかったこと、成し遂げたかったことを諦めるきっかけになるかもしれません。
しかしながら、障害年金の制度内容や、他にある様々な制度の内容をあらかじめ知っておくこと、つまり、学んでおくことは「人生の備え」になると考えます。

障害を負ったときも人生を諦めてほしくないからこそ、このような年金があることだけでも知っていただきたいという願いで、この仕事に取り組んでいます。
そして、このように考えている方は、あなたの周りには大勢いることもお考えください。

これまで、障害年金について数回に分けて解説を行ってきました。
少しでも、皆様の障害年金への理解の一助になれば幸いです。

【障害年金】についてもう少し学びたい方はこちらをご参照ください

- 次回予告 -

『障害年金』を学ぶ④
~障害年金 こんなときどうなるの?~

次回、くらしすとEYEの年金を学ぶ【第12回】では、
"『障害年金』を学ぶ④ ~障害年金 こんなときどうなるの?~ "
を更新予定でございます。
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