





老齢年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、状況に応じて60〜64歳まで早めて受給することもできます(繰上げ受給)。繰上げ受給には、すべての年金を操作する全部繰上げ受給、一部だけを操作する一部繰上げ受給があります。ただし、一部繰上げ受給ができるのは特別支給の老齢厚生年金で定額部分が支給される人だけです。60歳から定額部分が支給されるまで、老齢基礎年金を繰上げて請求することができます。
- ◎ 全部繰上げ
- ◎ 繰上げ受給で注意したいこと
- ◎ 繰上げ受給の手続き
全部繰上げ
【特別支給の老齢厚生年金を受ける場合】
報酬比例部分と65歳からもらう老齢基礎年金を全部60~64歳からの受給に繰り上げることができます。
〈例〉1962(昭和37)年4月2日生まれの男性の場合

※定額部分ももらえる人が繰上げ受給した場合、定額部分は支給されなくなります。
※年金制度改正法により、2022(令和4)年4月以降は1962(昭和37)年4月2日以降生まれの人は、繰上げ1ヵ月あたりの減額率が0.4%に緩和されました。上記の支給率は「繰上げの報酬比例部分」と「老齢厚生年金」は85.6%、「繰上げの老齢基礎年金」は76.0%となります。1962(昭和37)年4月1日以前生まれの人の減額率は1ヵ月あたり0.5%で変わりません。
【65歳からの老齢厚生年金を受ける場合】
65歳からもらう老齢基礎年金と老齢厚生年金を全部60〜64歳からの受給に繰り上げることができます。
〈例〉1965(昭和40)年4月2日生まれの男性の場合

※1952(昭和27)年4月1日以前生まれの人は、「老齢厚生年金」と「繰上げの老齢基礎年金」の支給率は従前どおりとなります。
一部繰上げ
【特別支給の老齢厚生年金を受ける場合】
〈例〉1953(昭和28)年4月2日生まれの女性の場合(老齢基礎年金の4/5を繰上げ)

※報酬比例部分しか受けられない特例支給の老齢厚生年金、65歳以上の老齢年金は一部繰上げできません。
※障害者特例または長期加入者特例に該当して、定額部分も受けられる人の場合は、この一部繰上げをすることになります。
※1962(昭和37)年4月2日以降生まれの人は、「一部繰上げの老齢基礎年金」の支給率は、改正により60.8%となります。
繰上げ受給をすると、繰上げ期間に応じて減額(http://kurassist.jp/nenkinabc/nenkinabc-a3.html)されるほか、気をつけなければならないことがいくつかあります。
繰上げ受給で注意したいこと
〇振替加算は繰り上げることはできません(65歳からの受給)。
〇繰上げ請求をすると、その年金決定を取り消すことはできません。
〇寡婦年金の受給権者が老齢基礎年金の繰上げ請求をすると、寡婦年金はもらなくなります。
〇繰上げ受給をして65歳より前に遺族年金の受給権が発生した人は、老齢基礎年金と遺族年金のいずれかを選択することになります。繰上げ受給の老齢基礎年金を選択した場合、65歳以降も老齢基礎年金額は減額されたままで変わりませんので要注意です。
〇繰上げ受給後に初診日がある傷病が原因で障害を持ってしまった場合、障害基礎年金はもらえません。
〇繰上げ請求後は障害者の特例措置や長期加入の特例措置を受けることができません。
〇繰上げ請求後は国民年金に任意加入することができません。また、保険料の追納もできません。
繰上げ受給の手続き
〇特別支給の老齢厚生年金を受ける際に、老齢基礎年金の繰上げ請求を行う場合
「国民年金・厚生年金保険老齢給付年金請求書」に加えて、「国民年金・厚生年金保険 特別支給の老齢厚生年金受給権者 老齢基礎年金支給繰上げ請求書」を年金事務所に提出します。
【持参するもの】
□受給権者の年金証書等
〇特別支給の老齢厚生年金を受ける際に、老齢厚生年金の繰上げ請求を行う場合
「国民年金・厚生年金保険老齢給付裁定請求書」に加えて、「厚生年金保険・国民年金 老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書」を年金事務所に提出します。
【持参するもの】
特になし
〇65歳以降の受給権者が老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰上げ請求を行う場合
「国民年金・厚生年金保険老齢給付裁定請求書」に加えて、「厚生年金保険・国民年金 老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書」を年金事務所に提出します。
【持参するもの】
特になし
様式1 厚生年金保険・国民年金 老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書


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